2015 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体電解液の完全利用を目指したアルミニウム蓄電池の構築
Project/Area Number |
15H02202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑畑 進 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40186565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アルミニウム蓄電池 / ハロアルミネート / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハロアルミネートイオン液体を用い、Al金属の析出・溶解を負極反応に、炭素電極でハロゲンの酸化吸着と還元脱離を正極反応に用いたアルミニウム蓄電池を開発することが、本研究課題の目的である。そして、蓄電池としての性能、特に容量密度とエネルギー密度の向上を目指すためには、負極および正極反応のコントロールが重要となる。それぞれについて、反応条件ならびに電極材料の選択によって行う方法を開発しなければならず、それを3年間で達成させることが本課題の使命である。 1年目の今年度は、1) クロロアルミネートイオン液体を用いて、Al金属の析出・溶解の負極反応を、デンドライトの生成を回避して行える条件を明らかにした。2) 塩素イオンの酸化吸着と還元脱離を行う炭素材料を作製でき、電池を構成して充放電を行うことができた。3) 正極反応として、さらに、アルミネートのグラファイト層間への挿入と排出をも利用できる。という成果を挙げる事が出来た。特に3)の成果は、層構造炭素の層間や多孔性炭素のナノ孔に吸着する方がエネルギーの安定度が高いことが計算により見積もられているので、電池を構成する時には極めて有利に働く。初年度から有利な実験事実が得られたので、研究を加速できるものと考えている。 炭素材料については、グラファイト等の既製品を用いるとともに、高分子を焼成した炭素材料も研究対象とする事を計画していたが、それについては相間分離法で合成したポリアクリロニトリルビーズ材料を焼成する事で比表面積の大きな炭素ビーズを作成した。この材料はヤシガラ活性炭よりも大きな電気化学キャパシタ成分を有しており、アルミニウム蓄電池の正極材料としても高機能性となる事が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究計画としては、「クロロアルミネート系電池の構築」、「その組成変化の影響と反応式の決定」を挙げていた。これらについては全て行う事ができた。加えて、平成28年度から開始することを考えていた「炭素電極による反応の選択」についても、グラファイト層間を利用した反応が正極反応に利用できること、ポリアクリロニトリルから調製した炭素ビーズも作製することができ、今年度の研究につながる重要な成果を挙げる事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ハロアルミネートとハロイミダゾリウムの混合モル比を変化させることによる正極および負極のそれぞれの反応変化を、さらにシステマティックに行っていくこと、ならびに、正極と負極での生成物を電解液中に均一に存在させることによる電池特性の変化を調査していく。正極での生成物を負極へ、あるいはその逆を効率良く行う事によって、電池の高容量化と安全性向上を図る事ができるとの予測があり、それを実験的に確認して電池の高性能化を目指す。
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Research Products
(3 results)