2017 Fiscal Year Annual Research Report
Bone Tissue Mechanics under Deformation with Interaction between Molecla and Crystal of HAP and Micro Structure
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15H02207
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
但野 茂 函館工業高等専門学校, 校長, 校長 (50175444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 秀夫 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, チームリーダー (00261206)
東藤 正浩 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10314402)
高畑 雅彦 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (40374368)
藤崎 和弘 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90435678)
山田 悟史 北海道大学, 工学研究院, 助教 (90730169)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 生物・生体工学 / 生体材料 / 複合材料・物性 / 細胞・組織 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨組織の基本構成物質であるHApとColにおける分子・結晶レベルの荷重伝達・負荷応答を明らかにし、それらの物質が高度に組織化されたマイクロ構造体の変形相互作用を調べるとともに、構造体、組織といった各階層間の力学的機能相互を効果的に評価し、骨組織における強度特性(剛性、弾性率、応力、等)の発現機構を解明する。本年度は、以下の項目について実施した。 1)骨HAp/Col X線回折計測:ウシ大腿骨皮質骨を対象に、低エネルギX線によるIPを用いた小角・広角X線回折同時計測を引き続き実施し、HAp/Col変形割合の関係を調査した。また、広角X線回折によるHAp結晶の変形状態の計測結果より、骨組織残留応力の発生メカニズムを検討した。 2)骨HAp/Colラマン分光計測:ウシ大腿骨皮質骨試験片に引張負荷を与え、多点ラマンスペクトル測定による高精度ラマン分光計測により再現性の高いラマンシフト測定を行い、加齢と骨の力学的特性の変化の関連性を確認した。 3)皮質骨構造体モデリング・解析:硬組織対応型三次元内部構造顕微鏡を応用し、皮質骨マイクロ骨構造体の3次元内部構造観察システムを開発した。ビッカース硬さ試験機構を搭載することで、材料内部の局所的な硬さと弾性率の分布計測を実現した。また、骨組織中HAp濃度が力学特性に与える影響に着目し、脱HAp(脱灰)処理による組織形態変化の観察ならびに、脱灰が弾性特性および破壊靭性に与える影響を確認した。電圧印加による骨表面へのHAp誘引と結晶生成に成功した。 4)海綿骨構造体モデリング・解析:海綿骨と皮質骨のマイクロ骨構造体の違いを明らかにするため、ウシ大腿骨近位海綿骨を対象に、皮質骨―海綿骨遷移領域におけるマイクロ骨構造体特性を確認した。また、海綿骨強度と海綿骨構造の関係を調査した。超音波骨密度測定装置による骨試料のin vitro計測を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)骨HAp/Col X線回折計測:ウシ大腿骨より年齢別に試験片を作製し、低エネルギX線下におけるIPを組み合わせた小角・広角X線回折同時計測法を用いて、加齢によるHAp/Col変形割合の関係を調査した。また、IPによるX線回折画像より高精度にひずみ解析する手法を検討した。概ね順調に進展している。 2)骨HAp/Colラマン分光計測:ウシ大腿骨より年齢別に試験片を作製し、引張負荷を与えながら再現性の高いラマンイメージングを用いてラマンシフトを測定することにより、加齢と骨の力学的特性の変化の関連性について明らかにした。計画通りである。 3)皮質骨構造体モデリング・解析:硬組織対応型三次元内部構造顕微鏡を応用し、皮質骨マイクロ骨構造体の3次元内部構造観察・力学的特性分布計測システムを開発した。骨組織表面を顕微鏡観察可能な鏡面にするための精密切削条件を検討し、多断面にわたる安定した鏡面生成と顕微鏡観察を実現した。本システムにより、ウシ大腿骨皮質骨のマイクロ骨構造体観察および硬さ・弾性率の分布計測を実施した。また、皮質骨HAp濃度と弾性特性および破壊靭性の関係を確認した。電圧印加による皮質骨表面へのHAp誘引と結晶生成に成功した。計画通りである。 4)海綿骨構造体モデリング・解析:海綿骨マイクロ骨構造体観察により、海綿骨内部のラメラ構造の配列および海綿骨・皮質骨界面との違いを確認した。海綿骨立方体試験片を用いた圧縮試験方法を検討し、マイクロCTによる海綿骨構造解析を行った。圧縮試験により計測した弾性率および強度とマイクロCTにより観察した海綿骨構造の関係を確認した。概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)骨HAp/Col変形特性:ウシ大腿骨皮質骨試験片を対象に、引き続き小角・広角X線回折計測および多点ラマンスペクトル測定による高精度ラマン分光計測を行い、HAp/Col変形特性と巨視的な骨組織強度特性の関係を明らかにする。小角・広角X線回折計測における高精度ひずみ解析方法およびラマン分光計測における高精度スペクトル解析法を整理し、測定精度の向上を諮る。骨組織の脱灰処理によりHApを段階的に除去し、小角・広角X線回折計測およびラマン分光計測によりHAp/Colの負荷応答を観察する。以上により、HApとColにおける分子・結晶レベルの荷重伝達・負荷応答を明らかにし、強度特性との対応を明らかにする。 2)骨構造体モデリング・解析:骨組織階層構造および構造異方性と骨強度特性の関連を整理する。3次元内部構造観察・力学的特性分布計測システムにより、マイクロ骨構造体の3次元構造と弾性率3次元分布を基に皮質骨の力学モデルを作成する。また、マイクロ骨構造体およびHAp/Colの構造異方性と骨強度特性の関連を調査する。海綿骨構造体と弾性率・強度の関係について、圧縮試験による弾性率および強度とマイクロCTによる海綿骨構造体との関係を整理する。超音波骨密度測定装置による骨試料のin vitro計測のため、海綿骨試料ファントムの計測により検証する。また、皮質骨・海綿骨組織におけるHAp形成特性を明らかにし、骨組織中HAp濃度や結晶形成形態が、巨視的な骨組織強度特性に与える影響を整理する。 以上により、分子・結晶とマイクロ構造体の変形相互作用による骨組織強度特性について整理する。
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Research Products
(18 results)