2015 Fiscal Year Annual Research Report
力学的適応機構解明のための生体組織内微視的力学場の3次元解析と生化学場の対比
Project/Area Number |
15H02209
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 篤敬 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30394836)
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20532104)
横田 秀夫 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, その他 (00261206)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 力学解析 / 組織・細胞 / 循環器・高血圧 / 生物・生体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体組織の力学応答メカニズム解明のため,主にブタならびに家兎の胸大動脈を対象とし,生理状態で組織内部に加わる力を微細構造レベルの分解能で可能な限りの精度で推定し,力と組織内のタンパク質の発現との関係を明らかにすることを目的として3年間に亙る研究を進めている.研究初年度の本年度は,主に,円筒状の大動脈試料が無負荷状態から生理状態に向けて変形する際に,血管壁内の微細構造がどのように変形するのかを明らかにすることに集中した.具体的には,1)軸方向伸長・加圧に伴う大動脈壁内部構造の3次元変形の観察,2)血管薄切試料の単軸引張試験による3要素の変形の同時観察,3)レーザアブレーションによる薄切片試料内部の張力不均質性の計測などを進めた.1)では家兎胸大動脈について弾性板の3次元形状の変化が明らかとなった.即ち,弾性板は無負荷状態では円周方向並びに軸方向に蛇行しているが,軸方向伸長により軸方向の蛇行が解消され,加圧により円周方向の蛇行も解消され円筒管になることが判った.コラーゲン線維については明瞭な可視化にまだ成功していないが,二光子顕微鏡を用いた観察から,弾性板層中にも平滑筋層同様にコラーゲン線維がかなり豊富に存在すること,両層のコラーゲン線維の伸長に違いがある可能性があることなどが判った.2)については弾性板変形については既に大分明らかになってきており,コラーゲン線維を選択的に染色する抗体の選定を進めている.現在,より鮮明な画像を得るため染色条件のブラッシュアップを進めている.3)については,弾性板層の穴の幅は無負荷状態の弾性板の蛇行度と負の相関があることなどが明らかとなってきている.この他,弾性板層のシリアルセクション画像を積み重ね,弾性板の3次元有限要素モデルを作成する手法の確立なども進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
凍結連続切片を用いた3次元構造の可視化において,弾性板の可視化はほぼ十分な可視化が行われているが,細胞核やコラーゲン線維の明瞭な可視化像がまだ得られておらず,薄切片についても変形に伴うコラーゲン線維の蛇行度変化を計測するまでには至っていないから.研究代表者の移動のため予め実験装置を梱包する必要があり,年度末直前まで実験ができなかった点が理由のひとつとして上げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
移動先でなるべく早く研究環境を立ち上げ,実験を再開する.コラーゲン線維の可視化法等について,更に条件を検討するが,上手く計測できない場合には,2光子顕微鏡を用いてコラーゲン線維の蛇行変化を測定する方法など,他の方法を用いることも検討する.
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Research Products
(12 results)