2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02248
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小山 二三夫 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (30178397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 孝浩 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (70215622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 面発光レーザ / 高速変調 / 光インターコネクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光インターコネクトの主要光源である面発光レーザに,垂直方向のレーザ共振器に加えて,微小光共振器を横方向に集積してその光のフィードバック効果により,その変調帯域を大幅に拡大する新しい高速変調技術の確立を目的としている.また,同一手法により,面発光レーザに光の群速度を制御した小型の吸収型光変調器をモノリシックに集積し,小型化による高速化と低電圧化による低消費電力化を目指している.両手法による理論的な変調速度限界を究明するとともに,デバイスの試作を通しての実証研究により100Gbps級の超高速半導体レーザ工学の確立を目指している. 光帰還を用いた超高速面発光レーザ実現のため,横方向結合共振器面発光レーザの小信号変調特性を戻り光を含むレート方程式を用いて解析を行った.強結合の条件を議論するため,光帰還用の共振器での共振効果を含めた解析を行った.共振器間の結合効率を増大することで,変調帯域を大幅に増大させることができ,小信号変調帯域として,最大55GHzまで増大できることを明らかにした. 実際に,光リンクの世界標準波長である850nmの結合共振器面発光レーザを製作した.高速化を実現するための設計指針に基づき,共振器間の光結合を強くするために新たにBattledore型結合共振器を導入した.小信号応答特性として,30GHzを越える(光検出器帯域で律速)世界最高の変調帯域を実現した.また,大信号での消光比4dB,40Gbps変調を実現した.同時に高速変調時の低チャープも理論・実験により初めて実証した. さらに,外部変調器の高効率横方向結合を実現するため,面発光レーザに結合共振器構造を導入することで,横方向結合効率の向上と1mWの光結合を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光帰還を含むレート方程式を用いて動特性解析を行い,高速化のための結合共振器間の結合量,帰還のための遅延時間の最適化を図るとともに,3次元のマックスウェルソルバーを基に,電磁界解析を実施し,光帰還による面発光レーザの高速動作の限界を明らかにして,小信号変調帯域として50GHzを越える高速化の可能性をモデリングにより示した.さらに,高速化を実現するための設計指針に基づき,共振器間の光結合を強くするために新たにBattledore型結合共振器を提案して,小信号変調帯域として30GHzを越える(光検出器帯域で律速)世界最高の変調帯域を実現すなど,当初目的を達成した. これまで報告されている高速面発光レーザは多モード動作のものが大半であり,標準波長である850nm帯では光ファイバの波長分散が100ps/nm/kmと大きいため,長さ300m程度の伝送距離でも40Gbps超の高速伝送では,狭いスペクトル幅,すなわち単一モードで動作する面発光レーザが不可欠である.本研究により,現状の技術では到達困難な40Gbps相当かつスペクトル幅の狭い単一モード素子が可能になり,従来技術に対して大きな進展が期待できる.本研究成果は,4件の国際会議招待講演で発表されるなど,国際的にも高く評価されている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の解析結果と製作基盤を踏まえ,高速化を可能とする結合共振器面発光レーザを製作し,変調特性を明らかにする.これまで得られた高速化の指針は,弱結合の限定した条件の中では,結合共振器間の結合を強める事と共振器の微小化(遅延時間の短縮)であり,今後はこの2点を重点的に進める. また,変調器集積光源に関しては,平成27年度で得られた設計指針を踏まえ変調器集積面発光レーザを製作し,変調特性を明らかにすると同時に多モード干渉効果を用いた光変調器からの戻り光の抑圧効果をレーザの雑音強度測定から明らかにする.変調器の素子長依存性を明らかにし,高速化のための限界究明を行う.また,半導体中の不純物濃度分布・素子長の最適化,量子井戸層数の最適化により,変調器の変調電圧振幅の低電圧化を進め,低消費電力化の指針を確立する. これらの研究結果を踏まえた高速化の限界究明と,更なる高速化の方向として,結合共振器面発光レーザの多値変調・差動変調方式の検討,変調器集積光源では,微小化による高速化の限界究明を進めるとともに,低電圧化による低消費電力化を進める.両デバイス技術による低消費電力化の限界について,実験的・理論的な考察を行い,100Gbpsの高速変調(既存技術の4倍)と100fJ/bit(既存技術の約1/5)の低消費電力化を進める.また変調器集積光源における光帰還効果による帯域拡大など,両技術の一体間化による高速化を検討し,本研究成果を総括していく.
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Research Products
(15 results)