2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02252
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大鐘 武雄 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (10271636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 寿彦 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (70301934)
林 和則 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (50346102)
衣斐 信介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10448087)
石橋 功至 電気通信大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80452176)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 無線通信 / 大規模MIMO / 確率伝搬法 / 圧縮センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
ファクターグラフにおいてショートループが存在する場合,確率伝搬の妨げとなり特性が劣化することが知られている.しかし,多数のアナログ結合を有するファクターグラフの場合,ループが存在していても正しく収束する.この性質に注目し,動作原理を深く追求するのが本課題の目的である. 初年度は,グラフの規模,エッジの偏り(MIMOシステム・等化),誤り訂正との同時更新など種々の条件において特性評価を行った.その結果,エッジに偏りがある等化の場合やグラフ規模が小さい場合に,ショートループの影響が大きいことがわかった.収束特性を詳しく調べた結果,ショートループの存在により信頼度が更新ごとに振動する現象が見られた.これを軽減することが,正しい収束に必要であるといえる.実際,大規模MIMOの場合は,各ノードからの信頼度情報を多数平均化できるため,この振動が軽減されたと考えられる.このように,確率伝搬法が動作する理由が徐々に解明されつつある. この振動現象を防止する手法として,ノード選択,信頼度の上限設定,ダンピング,信頼度の正規化に取り組んだ.その結果,どれもが振動防止に貢献し,特性が大きく改善されることがわかった.このように信頼度値を操作することは,さらに一歩進んで,信頼度を正しく求めずとも収束できる可能性を示している.これが明らかとなったことは非常に大きな成果である. さらに小規模なMIMO構成の場合は,三角化とソーティングを事前に行うことで特性が改善することがわかった.より詳しい収束特性の解析が今後必要である. また,大規模MIMOの解法として圧縮センシングの適用についても検討し,新たな手法を開発した.過負荷MIMOでは,確率伝搬法より優れた特性を有することが明らかになっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模なファクターグラフであればショートループが存在しても動作する理由の一つが明らかとなった.そのため,それ以外の条件で確率伝搬法を動作させるための改善策もいくつか見つかり,今後さらに進展させるための下地が十分に揃い,初年度の目標が十分に達成された.
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Strategy for Future Research Activity |
ノード選択,信頼度の上限設定,ダンピング,信頼度の正規化が,振動現象抑制に有効であることがわかった.そのため,次年度は,振動抑制に有効かつ計算量も削減できる信頼度情報算出手法について検討する.また,大規模MIMOにおける,信頼度情報平均化の効果についてもより深く検討し,動作原理を明らかにする. 一方,より小規模なMIMOでの事前処理や,圧縮センシングによる過負荷MIMOの高精度検出手法についても引き続き検討する.
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Research Products
(26 results)