2018 Fiscal Year Annual Research Report
実時間最適化と代数的手法による複雑システム制御の展開と多分野応用
Project/Area Number |
15H02257
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大塚 敏之 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40272174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯野 剛史 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (10756232)
佐藤 康之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 助教 (40738803)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 制御工学 / 非線形システム / 最適制御 / 最適化 / 代数学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,非線形最適制御の実時間最適化アルゴリズムと代数的解法をそれぞれ発展させるとともに,それらを融合し,きわめて複雑な動的システムの実時間最適制御を実現することである.平成30年度には,並列計算による実時間最適化アルゴリズムを開発し,数値シミュレーションで有効性を確認した.とくに,CPUのコア数が増えるにしたがって従来手法より大幅に高速化できることが確認できた.さらに,数式処理を用いた自動コード生成ツールも開発し公開した.これらの成果を国際会議論文として発表した.また,状態のジャンプやシステムの切替えを含むハイブリッドシステムの実時間最適制御に関しても,昨年度までに開発した近似的な手法ではなく,ジャンプや切替えを陽に考慮した効率的な実時間最適化アルゴリズムを開発した.これについては学会誌論文を投稿中である.代数的解法については,制約付き最適化問題を扱う方法として古くから知られているペナルティ関数法を射影空間の理論で扱う新しい着想を得て,検討を開始した.さらに,ドローンにおけるロータ停止時の位置姿勢制御や目標追従制御について実機での実装に成功した.そのほか,ヒューマノイドロボットのクライミング制御と歩行制御,浮体式洋上風力発電施設のブレードピッチ角制御など複雑なタスクに対して,非線形性や拘束条件を陽に考慮した実時間最適制御の定式化と数値シミュレーションを発展させた.とくに,ヒューマノイドロボットのクライミング制御では,重心動力学モデルという簡略化モデルを導入することで,ダイナミクスや制約条件を考慮したクライミング動作の生成に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実時間最適化アルゴリズムについては,CPUコア数に応じた高速化を達成する非常に有効な並列計算手法が開発できた.さらに,その自動コード生成ツールも開発・公開できた.ハイブリッドシステムの実時間最適化アルゴリズムについても,近似を導入せず本質的な問題が解決できた.代数的な手法については新しい有望なアプローチが着想でき,多分野応用も実機実装の成功を含めた成果があがっている.
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Strategy for Future Research Activity |
実時間最適化アルゴリズムに関しては,並列計算のさらなる効率化と応用に加えて,未来の不確かさを陽に考慮した問題設定への拡張を目指す.これにより,評価関数や拘束条件に対する不確かさの影響を考慮した保守性の小さい制御が実現できると期待される.代数的手法については,射影空間の理論による新しいアプローチの可能性をさらに探索するとともに,最適制御問題の代数的解法を最適推定問題にも展開する.また,ドローンの耐故障制御や目標追従制御,ヒューマノイドロボットのクライミング制御や歩行制御,浮体式洋上風力発電施設の制御など,複雑なタスクへの応用に関して,実機実装に重点を置いた検証を行う.
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Research Products
(25 results)