2017 Fiscal Year Annual Research Report
伏在断層の地表への到達過程と重要構造物の損傷・崩壊過程の統合解析手法の開発
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15H02262
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小國 健二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (20323652)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計算力学 / 地震工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原子炉建屋などの最重要構造物の敷地近傍の伏在断層が構造物の安全性に及ぼす影響を定量的に評価することを最終目標とし、伏在断層が地震時に地表に到達する過程と、これに伴う構造物の損傷・崩壊過程を統合的に解析する手法の開発を行う。 具体的には、伏在断層の動きと断層近傍の地表面変位との非自明な関係を正しく表現・予測する動的破壊進展解析手法を完成させる。この手法と構造物の損傷・崩壊過程の解析手法を統合し、相互作用を及ぼしあう複数の伏在断層が敷地直下や近傍に存在する原子炉建屋の地震時の挙動を、損傷・崩壊過程まで含めて解析する手法を開発する。多数の地震シナリオについて解析を行い、建屋の安全性の定量的評価の基礎データを提示する。 本年度は、昨年度に進めた粒子離散化有限要素法(PDS-FEM)への、非弾性ひずみの影響を加味する改良をさらに進め、非弾性ひずみが分布する場における動的破壊進展に際して非弾性ひずみの分布が亀裂の進展経路に及ぼす影響まで正確に予測することが可能な数値解析手法を開発した。この数値解析コードを用いて、非弾性ひずみが分布する表層地盤に対して横ずれ+逆断層型の伏在断層変位を与えた時に、断層変位が表層地盤を通って地表面のどの位置にどのような形で現れるかを予測する数値解析を行った。 さらに、初年度から引き続き、原子炉建屋の損傷・崩壊過程を解析するためのRC構造物を対象とした動的弾塑性PDS-FEMの改良に本年度も取り組み、RC構成則と弾塑性動的破壊進展則を兼ね備えた、より高度な構造物損傷・崩壊過程の解析手法の開発を行った。これとあわせて、構造物、基礎、伏在断層、周辺地盤などの有限要素モデルの作成も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画していた動的破壊進展解析手法の改良を行い、これを様々な伏在断層の動きに対して適用し、表層地盤に到達する断層変位の位置・形状の予測を行った。これらの結果と、他の研究者らによる既存のリーデル剪断実験などの結果との比較検討を行った。また、原子炉建屋の損傷・崩壊過程を解析するためのRC構造物を対象とした動的弾塑性PDS-FEMの高度化を行うなど、当初計画していた研究内容については極めて順調に推移している。 さらに、粒子離散化有限要素法(PDS-FEM)への、非弾性ひずみの影響を加味する改良をさらに進め、非弾性ひずみが分布する場における動的破壊進展に際して非弾性ひずみの分布が亀裂の進展経路に及ぼす影響まで正確に予測することが可能な数値解析手法を開発した。この点は当初の計画には入っていない付加的な成果である。 以上の進捗状況をもって、「当初の計画以上に進展している」という自己評価を下した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点までの研究活動は極めて順調に推移しているため、研究計画の変更・問題点は存在しない。今後も当初計画に従って研究を推進する。
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Research Products
(12 results)