2017 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢社会における住み続けられる地域圏域の共助を促す建築機能配置の構築
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15H02282
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西出 和彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80143379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 勝矢 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (00334384)
田中 敏明 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40248670)
祐成 保志 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50382461)
大方 潤一郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60152055)
西野 亜希子 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (60601961)
松田 雄二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70516210)
大月 敏雄 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80282953)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 建築 / 機能 / 地域 / 共助 / 再配置 / まちづくり / 医療 / リハビリ |
Outline of Annual Research Achievements |
新たな地域として、大牟田市を対象に生活圏域および地域交流施設の利用実態に関する調査を行った。さらに高齢化率が高いコミュニティに関しては、瀬戸内市を対象に調査を行った。 まず、日常生活圏域に関しては、移動主体の異なる通所と訪問の違いから高齢者の生活圏域(以下、生活圏域)における時間距離の特徴と生活圏域の設定検討項目を明らかにすることを目的とした。その結果、①通所介護と訪問介護共に、日常生活圏域やコミュニティエリアを越える利用が認められ、利用圏と提供圏の広域化が見られた。②通いと訪問といった移動主体に置ける時間距離と利用者数の分析より、通所介護は「時間距離重視型」で、訪問介護は「顧客獲得型」であることが分かった。③通所より訪問介護の方が地域差が大きいことが明らかになった。 次に、地域交流施設に関しては、2017年7月~2018年1月に市内の地域交流施設7ヶ所の利用者に半構造化インタビューを行い、施設利用のきっかけ等を把握した。その結果、地域交流施設にそれぞれ付加されている施設基準以外の機能の特色により遠方からの利用などを促していることがわかった。 将来的に高齢化率が高いコミュニティの事例として、2017年4月から国立ハンセン病療養所の入所者構成と居住形態の変遷に関し、入所者のライフサイクルに合わせて発展した隔離施設における居住形態の変遷を明らかにすると共に、集約期に直面した施設における居住環境整備に関する知見を得ることを目的とし、史資料の収集及び分析などの文献調査、入所者及び療養所関係者へのインタビュー調査を行った。その結果、長島愛生園開園初期の施設拡張期に供給された患者小住宅の概要および長島愛生園に存在した全ての入所者居住施設の沿革と用途が明らかになった。 このように今年度は、これまでの調査対象地域に加え、新たに大牟田市や瀬戸内市へと調査対象地域を広げて調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの調査地域に加え、2年目以降実施を計画していた新たな対象地域を対象に調査を実施できているため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
大牟田市で実施している生活圏域に関する調査では、利用者個人の事情や事業所の運営方針とともに、地域密着型サービスである小規模多機能型居宅介護などを分析対象に加え、通いと訪問の共存について検討する。 瀬戸内市で実施しているハンセン病入所者に関する調査では、入所者の健康及び活動範囲の変化と入所者居住施設の変遷の相関関係や居住形態の選好度に影響を及ぼす要因を明らかにする。 このように圏域や高齢化率の高いコミュニティの維持形成過程を捉えると共に、今年度の前半は、これまでの調査研究結果を体系的に整理する。そして、分析したデータに基づき、共助としての居場所に関する追加調査を適宜実施する。 そのほか、これまで実施したESM調査研究を別の地域で実施し、地域別共助のあり方に関する知見を得ることを目指す。なお、研究成果は、論文などで発表する。
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Research Products
(4 results)