2015 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミック・ナノリフロー法によるLSI超微細配線の形成と機構解明
Project/Area Number |
15H02307
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 淳一 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (10261588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 大輔 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50615820)
須藤 祐司 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80375196)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 半導体超微細化 / 構造・機能材料 / 多層配線 |
Outline of Annual Research Achievements |
幅が15nmの配線溝およびビアにおいて、Coライナーが形成されている場合と、形成されていない2種類の基板を作製した。銅を成膜する前にCoライナー基板の表面酸化物を還元する条件を探索し、Ar+5%H2雰囲気において350℃5分の熱処理が最適であることが判明した。この条件で還元したCoライナー有りと無しの基板に対してスパッタ法で銅のダイナミックリフロー試験を試みた。成膜温度は200℃~450℃の範囲で変化し、各温度における成膜時間、スパッタパワーを変化して断面TEMによる組織観察を実施した。さらに、配線溝へのリフローが未完のサンプルにおいて、追加熱処理を行うことによってリフローが完了するか否かを調査した。 得られた結果は以下の通りであった。ダイナミックリフローは250~350℃で完全な埋め込みが見られた。時間依存性はリフロー時間の1/2乗に比例した。スパッタパワーの依存性はなかった。追加熱処理による埋め込みの進行は見られなかった。 これらの結果より、ダイナミックリフローの機構としてスパッタ蒸着時の運動エネルギーによるとするモデル、および配線内部の表面・界面エネルギー平衡によるとするモデルだけでは、全ての結果を矛盾なく説明することができないことが判明した。 一方で、リフローが未完のサンプルの組織形態を詳細に調査したところ、銅配線幅の収縮が見られ、絶縁層との熱膨張係数差によって発生した熱応力を考慮することで定性的な説明が可能であることが明らかになった。 一連の結果は、研究開始時に想定していたモデルの限界と新たな因子(熱応力)を検討する必要性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請時に計画した実験は予定どおり完了した。系統的な実験を実施したことで、想定していたモデルの妥当性を十分に検討することができた。また、新たな影響因子を考察する必要性を示す結果も得られており、新規モデルの構築への道筋が開けた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果によって、ダイナミックリフロー機構を決定する新たな因子として熱応力を考慮する必要性が明らかになった。熱応力分布は配線形状に依存し、応力勾配が存在することによって拡散クリープが生じて完全な埋め込みが実現できる可能性がある。 拡散クリープの影響を調べるために28年度は以下の研究を行う。まず、有限要素法によって熱応力分布の発生と分布状態を明らかにする。配線形状が異なるサンプルにおいてリフローを行い、埋め込み状態を観察する。また、リフロー後の冷却速度を変化することで熱応力緩和の影響を調査する。これらの実験結果と計算結果を比較することで、熱応力モデルの妥当性、および主要な影響因子を明らかにする。 29年度は、従来より想定していたモデルと新たな熱応力モデルの比較検討を行い、与えられる条件においてそれぞれのモデルがどの程度の割合で支配的であるかを解明するとともに、現象を定量的に説明できるモデルを構築し定式化する予定である。
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Research Products
(8 results)