2015 Fiscal Year Annual Research Report
世界牽引型フォワードオスモシス膜の創製と究極的ゼロエネルギー水処理プロセスの構築
Project/Area Number |
15H02312
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松山 秀人 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50181798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都留 稔了 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20201642)
比嘉 充 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30241251)
吉岡 朋久 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50284162)
通阪 栄一 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (40363543)
鈴木 祐麻 山口大学, 理工学研究科, 講師 (00577489)
神尾 英治 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30382237)
高橋 智輝 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80535518)
安川 政宏 山口大学, 理工学研究科, 助教 (20647309)
佐伯 大輔 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70633832)
三野 泰志 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70709922)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 正浸透膜 / 生体機能模倣膜 / ウォーターチャネル / ロバスト膜 / ハイドロゲル膜 / 駆動溶液 / 光応答性分子 / 温度応答性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.1 ウォーターチャネルを有する生体機能模倣型FO膜の創製 チャネル物質としてGramicidin A (GA)を用いた生体機能模倣型FO膜を作製した結果、GA導入量によらず99%を超える高い塩阻止率を示し、GA導入量が5 mol%の場合において最も高い透水性を示すことが明らかとなった。 1.2 革新的ロバスト無機FO膜の創製 優れた機械的強度,耐溶媒性を有するアモルファスシリカ膜として、Siに有機官能基が1 個結合したbis(triethoxysilyl)ethaneを用いた製膜の最適化を行ない、pH swing法が有効であることを明らかとした。 1.3 荷電反発機能を有するミクロ相分離ハイドロゲルFO膜の創製 荷電基を有する高分子を共重合したPVAを用いてFO-IB膜の作製を行った。成膜時における架橋剤濃度や熱処理条件を変更し、得られた膜の含水率と透水性能とイオンバリア性能について評価を行った。 1.4 計算機科学による高機能FO膜開発支援 オルガノシリカ膜構造を作製し、各種気体分子および水分子の透過係数を吸着性と拡散性から推算した。また,ウォーターチャネルモデルとして、環状ペプチドナノチューブ構造(8CP, Mba-8CPなど)を作製し、分子動力学法により構造最適化を行った。 2.1 光応答性分子を利用したDSの開発 光応答性分子として、双性イオン化を示すスピロピラン系分子、光二量化を示す桂皮酸系分子について、光照射の有無における水溶液の浸透圧測定を行った。これらのモデル分子は水への溶解度が極めて低いため、浸透圧は低い値を示した。 2.2 二酸化炭素と温度応答性を有する新規ポリアミン誘導体DSの創製 種々の三級アミンモノマーから構成される共重合体をDSとして合成した。共重合体の組成変化により、水溶液の相転移温度を24℃から41℃の範囲で制御することに成功した。共重合体水溶液の浸透圧は、二酸化炭素の吸収により劇的に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新規FO膜の創製について詳細な検討を加え、高塩阻止性と高透水性を兼ね備えた生体機能模倣型FO膜の開発に成功するとともに、計算機科学による新規ウォーターチャネルの構造最適化指針を得た。一方、新規DSの創製についても詳細な検討を加え、海水以上の浸透圧を発現する温度相転移型DSの開発に成功した。 このように当初の計画以上の結果を得たと言える。これらの成果は下記のように、論文発表や学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、新規FO膜および新規DSの創製について検討を行う。具体的には、生体機能模倣型FO膜の創製に関しては、新たなチャネル物質としてamphotericin B、又はMD計算に基づき分子設計された新規ポリペプチドを二分子膜に導入する検討、さらにはリン脂質二分子膜の安定性の向上を目指した重合性リン脂質を用いた架橋の検討やリン脂質侵入型高分子による膜被覆についても検討を行う。無機FO膜の創製に関しては、製膜用シルセスキオキサンとして、bis(triethoxysilyl)methane又はbis(triethoxysilyl)hexaneなどを用いた分離膜を作製するともに、架橋基の最適選定及び製膜条件の最適化を図る。さらに、緻密な中間層はFO透過の大きな透過抵抗となるために,分離層の最適化に引き続き、中間層(TiO2, SiO2, ZrO2など)の大孔径化,薄膜化について検討し、FO膜特性の最適化を図る。ハイドロゲルFO膜の創製に関しては、引き続きFO-IB膜の作製方法の最適化を進めるとともに、耐膜汚染性(耐膜ファウリング性)についても評価を実施する。計算機科学による高機能FO膜開発支援に関しては、前年度に作製したオルガノシリカ膜構造について、非平衡FO透過シミュレーションシステムを作成する。駆動溶液(DS)組成や膜の多孔構造、水の拡散性・吸着性と正浸透透過性との関係を検討することにより、正浸透操作に有効な膜構造を提案する。一方、ウォーターチャネルについては、膜厚みやチャネル径、水分子との親和性など高透水性を発現させるための要因を分子レベルで明らかとする。光応答性分子を利用したDSの開発に関しては、光応答性分子の水への溶解性改善について検討を加えるとともに、光応答性と高浸透圧発現の両立を目指す。二酸化炭素と温度応答性を有する新規DSの創製に関しては、二重応答性を示す分子構造の最適化を目的としてデンドリマー型DSに関しても検討を加える。
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Research Products
(62 results)