2017 Fiscal Year Annual Research Report
放射線によるナノ粒子材料創成のその場観察と機能材料の実用化
Project/Area Number |
15H02342
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 孝夫 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00174798)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70273589)
清野 智史 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90432517)
仁谷 浩明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (20554603)
堀 史説 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20275291)
水越 克彰 東北大学, 金属材料研究所, 特任准教授 (60342523)
田中 真悟 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (50357448)
久貝 潤一郎 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80617134)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ナノ粒子 / 放射線 / 構造・機能解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線を利用したナノ粒子材料の創製を、協力企業に設置された加速器電子線(4.8 MeV、10 mA)もしくは阪大のCo60ガンマ線照射施設を用いて実施した。昨年度までの検討を生かしつつ、Ptを主元素とする二元系金属ナノ粒子が担体表面に担持した複合ナノ粒子の生成プロセスの解明に向けての検討を行った。生成する二元系粒子の構造を支配する要因として、昨年までの検討で明らかとなっていた酸化還元電位差・酸化物生成自由エネルギー・二元系合金状態図の形態等に加えて、出発原料金属イオンの担体への吸着量が強く影響することが示唆されていた。この知見を活用し、PtCu系やAuCu系を対象として任意の微細構造を得るための検討を行い、合金化が促進される条件を見出した。またCuやNiといった遷移金属ナノ粒子への展開も進めており、合成に一部成功している。また貴金属ナノ粒子合成の際の添加剤種と粒子構造との相関についての検討を進め、担体への分散担持状態に強く影響を及ぼすことを明らかにし、最適な触媒構造を設計するための指針を得た。 放射線の比較対象として、超音波法および液中プラズマ法との比較を進めている。液中プラズマ法により誘起される担体の表面改質現象についてラマン分光やEELS解析を駆使して検討を行い、酸素欠陥が導入されることが明らかとなった。また担体としてグラフェンを適用し、その表面に貴金属ナノ粒子が固定化できることも報告した。銀ナノ粒子の抗微生物機構についての検討をさらに進めた。金属銀ナノ粒子が試験環境に存在する含硫黄物質と強く相互作用することがXANES解析により明らかとなり、その化学状態の変化が抗微生物性能の劣化要因となることが強く示唆されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
適用する放射線種(電子線とガンマ線)や、放射線法と他手法(超音波法、液中プラズマ法)の比較についての検討も進んでおり、意義あるデータが得られつつある。二元系ナノ粒子および二元系ナノ粒子担持触媒の生成過程検討について著しい進捗が見られており、その知見を活用した粒子材料の設計が一部可能となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ナノ粒子材料の創製には、これまでの蓄積を活かして、ダイナミトロン型加速器電子線とコバルト60ガンマ線の照射施設を利用する。それぞれ、協力関係にある民間施設と阪大の施設を活用する。粒子材料の解析には、放射光(PF、SPring-8、あいちシンクロトロン)を利用したXAFS、収差補正TEM、汎用TEM、XRD(H27年度に更新)、ICP、FTIR等の機器(メンバーの所属機関に整備済み)を用いた分析手法を適用する。これらの実験や観察から得られるデータから、想定される化学反応を組み合わせた粒子創製モデルの検討を進める。H29年度までに報告された、担体表面への原料金属イオンの吸着率と生成粒子の構造との相関について、多様な金属種・担体種の組み合わせに展開し、創製モデルの高度化を進める。また計算科学との組み合わせの研究手法を他の材料系にも展開し、粒子創製モデルの構築に活用する。応用先の一つである銀ナノ粒子の抗微生物応用について、H29年度までに材料分析学的手法による研究手法を構築することができた。これを活用し、カビやウイルスといった微生物への作用機構の検討を進める。銀および他の貴金属ナノ粒子の物性(粒子径、化学状態、表面状態等)をパラメータとし、検討を進めていく。
|
Research Products
(27 results)