2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H02355
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仲嶋 一範 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90280734)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / 発生・分化 / 脳・神経 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
inside-out様式でニューロンが配置されるためには、リーリンによるニューロンの凝集は後輩の移動ニューロンの通過を阻害しないことが重要と考えられる。阻害してしまうと、先輩の下に後輩が配置することになってしまうからである。そこで、凝集時には細胞体よりむしろ突起部分で強く凝集するのではと予想し、辺縁帯や、リーリン強制発現時に生じる異所性凝集塊の中心部分(先導突起部分)に局在する細胞接着関連分子を探索した。その結果、N-カドヘリンが濃縮して存在することを見出した。そこで、リーリン強制発現時にN-カドヘリンを阻害したところ、凝集塊形成は阻害されることを見出した。また、リーラーマウスの胎生期大脳皮質細胞を分散させてリーリンを添加する実験においても、N-カドヘリン阻害によってニューロンの凝集が阻害されることを確認した。すなわち、リーリンはN-カドヘリン依存的にニューロン同士を凝集させることがわかった。そこで次に、確かにN-カドヘリンに対する接着力がリーリンによって増強するかを定量的に直接検証するため、原子間力顕微鏡を用いて検討したところ、予想通り増強することがわかった。一方、回旋培養器を用いた別の再凝集培養実験においては、「リーリンがニューロン間の接着力を強める」機能だけでは説明がつかない結果が得られた。そこで、数理モデルを用いたシミュレーションによって検討した結果、ニューロン間の接着力増強は一過的にしか起こらず、強くなった後に弱くなる可能性が推測された。そこで原子間力顕微鏡を用いて調べたところ、確かにリーリンによる接着力増強は一時的な現象であることが明らかになった。また、子宮内胎仔脳電気穿孔法を用いて、マウス胎児の脳でN-カドヘリンを介したニューロン間の接着が強いまま弱まらないようにしたところ、脳の層構造形成が乱れることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、リーリンによるニューロン間の接着力増強を明らかにでき、その責任分子がN-カドヘリンであることを証明できた。 一方、回旋培養器を用いた再凝集培養実験で、それまでの結果と一見矛盾するようなパターンが得られて当惑したが、数理モデルを用いたシミュレーションで新しい仮説(リーリンによるニューロン間の接着力増強は持続的ではなく「一過的」であるという仮説)を得ることができ、それを原子間力顕微鏡で証明するという、想定を越えた成果が得られた。さらに、この接着力増強が一過的ではなく持続的に生じると層形成が乱れることまでin vivoで証明することができた。 以上より、当初の計画以上に進展したと考えられる
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Strategy for Future Research Activity |
リーリンを添加することにより、ニューロンのN-カドヘリンを介した凝集が誘導される現象の詳細を明らかにする。まずは、リーリン添加により細胞膜表面に提示されたN-カドヘリン分子量が増加するかを調べる。具体的には、リーリン添加の前後や、受容体に結合できない点突然変異体リーリンを添加した後に膜表面の全タンパク質をビオチンによってラベルし、細胞からライセートを作成してN-カドヘリン抗体でウェスタン・ブロット解析することにより、リーリン刺激によって細胞膜表面のN-カドヘリン量に変化がみられるかを調べる。また、原子間力顕微鏡のカンチレバーに低濃度のN-カドヘリンを吸着させ、一細胞あたり100回など多数回アプローチして接着反応が見られる回数を定量的に調べるなどの方法により、リーリンによって細胞膜表面N-カドヘリン数に変化が生じるかなどを明らかにしたい。
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Research Products
(49 results)
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[Journal Article] Association of impaired neuronal migration with cognitive deficits in extremely preterm infants.2017
Author(s)
Ken-ichiro Kubo, K. Deguchi, T. Nagai, Y. Ito, K. Yoshida, T. Endo, S. Benner, W.Shan, A. Kitazawa, M. Aramaki, K. Ishii, M. Shin, Y. Matsunaga, K. Hayashi, M. Kakeyama, C. Tohyama, K.F. Tanaka, K. Tanaka, S. Takashima, M. Nakayama, M. Itoh, Y. Hirata, B. Antalffy, D.D. Armstrong, K. Yamada, K. Inoue, Kazunori Nakajima
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Journal Title
JCI Insight
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] DISC1 a key molecular lead in psychiatry and neurodevelopment: No-More Disrupted-in-Schizophrenia.2016
Author(s)
Minae Niwa, Tyler Cash-Padgett, Ken-Ichiro Kubo, Atsushi Saito, Kazuhiro Ishii, Akiko Sumitomo, Yu Taniguchi, Koko Ishizuka, Hanna Jaaro-Peled, Toshifumi Tomoda, Kazunori Nakajima, Akira Sawa, and Atsushi Kamiya
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Journal Title
Mol. Psychiatry
Volume: 21
Pages: 1488-1489
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Why does cognitive impairment frequently develop later in extremely preterm infants?2016
Author(s)
Ken-ichiro Kubo, Kimiko Deguchi, Taku Nagai, Wei Shan, Ayako Kitazawa, Michihiko Aramaki, Kazuhiro Ishii, Shin Minkyung, Sachio Takashima, Masahiro Nakayama, Masayuki Itoh, Barbara Antalffy, Dawna D. Armstrong, Kiyofumi Yamada, Ken Inoue, and Kazunori Nakajima
Organizer
Cell Symposia: Big Questions in Neuroscience
Place of Presentation
San Diego(U.S.A.)
Year and Date
2016-11-10 – 2016-11-11
Int'l Joint Research
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[Presentation] 大脳皮質層構造の形成機構2016
Author(s)
仲嶋一範
Organizer
京都大学医学部解剖学特別講義
Place of Presentation
京都大学医学部総合解剖センター(京都府京都市)
Year and Date
2016-06-28 – 2016-06-28
Invited
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[Presentation] 大脳皮質構築のメカニズム2016
Author(s)
仲嶋一範
Organizer
京都大学大学院医学研究科セミナー
Place of Presentation
京都大学医学部A棟(京都府京都市)
Year and Date
2016-06-28 – 2016-06-28
Invited
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