2016 Fiscal Year Annual Research Report
舌・食道扁平上皮がん克服に向けた幹細胞階層構造解析と治療標的分子の探索
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15H02364
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
上野 博夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (60332368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厚海 奈穂 関西医科大学, 医学部, 助教 (90612151)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道上皮組織は食道がんの由来臓器として、また近年の逆流性食道炎の増加など非常に重要な臓器であり、その組織維持機構の解明には食道上皮幹細胞の詳細な解析が必要であると考えられる。しかしながら、これまで食道上皮幹細胞は同定されておらず、また他グループより胃、小腸、大腸などの他の消化管上皮組織と異なり食道上皮組織には特異的幹細胞が存在しないとする報告(2014 Science, Doupe et al.)もあるなど多くの疑問が残されている。 私たちはこれまでの研究において、多くの成体幹細胞に発現する汎幹細胞マーカーを用いた細胞系譜追跡法によって、食道上皮組織には特異的成体幹細胞が存在するという予備的結果を得て本研究プロジェクトに着手した。私たちは食道上皮基底細胞層に特異的に発現するマーカーであるSox2に着目、Sox2陽性細胞をSox2-GFPマウスから単離した。オルガノイド培養系を用いてSox2陽性細胞はオルガノイドを形成するが、Sox2陰性細胞はオルガノイドを形成しないことを確認した。 次にSox2陽性細胞を用いて単細胞RNAシーケンス法を用いて発現遺伝子の網羅的解析を行い、また発現遺伝子からSox2陽性細胞内に存在する細胞種をクラスタリングした。その結果、幹細胞集団と考えられる細胞集団を同定し、それらの細胞集団が発現するマーカーをリストアップした。 今後これらのマーカーを用いて食道上皮幹細胞を高純度に単離してオルガノイド培養、また標識して細胞系譜追跡法によりこれらが真の幹細胞集団であることを証明していく。 一方、同時並行にて舌上皮組織のSox2陽性細胞の単細胞RNAシーケンス法を用いて発現遺伝子の網羅的解析を行い、味蕾と糸状乳頭の共通の幹細胞の存在を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①当初、単離した食道上皮幹細胞Sox2陽性細胞の単細胞RNAseqおよびその遺伝子発現解析が上手く行かなかったが、理研の二階堂研の助言を得て解析が順調に進行することとなった。 ②研究1年目に関西医科大学実験動物飼育共同施設における大規模な感染事故に巻き込まれる形で、半年間研究停止に追い込まれた影響もあり、初年度は研究が大きく遅れたが、その後クリーン化したマウスを立ち上げ直して解析を進め、順調に研究は進行している。 ③現時点ではSox2陽性細胞を用いて単細胞RNAシーケンス法を用いて発現遺伝子の網羅的解析を行い、また発現遺伝子からSox2陽性細胞内に存在する細胞種をクラスタリングした。その結果、幹細胞集団と考えられる細胞集団を同定し、それらの細胞集団が発現するマーカーをリストアップできている。 ④一方舌上皮組織における味蕾幹細胞の研究において、味蕾組織と糸状乳頭組織の共通の幹細胞を同定した。これらについては論文投稿後改定中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究において、 ①食道上皮基底細胞層(Sox2陽性細胞)を用いた単細胞RNAシーケンス法を用いて発現遺伝子の網羅的解析を進め、食道上皮組織の細胞代謝経路について発現遺伝子から予測する。 ②これまでの研究においてリストアップした食道上皮幹細胞の幹細胞集団を特徴づける発現マーカーについて、特に細胞表面マーカーに着目し、それらに対するフローサイトメトリーに使用可能なモノクローナル抗体を入手、これらを用いて食道上皮幹細胞を純化、単離できるかどうかを確認する。 ③上記の解析において特に有望であると考える幹細胞マーカーについて、CreERT2ノックインマウスを入手、あるいは作製してレインボーマウス(多色細胞系譜追跡システム)と交配し、これらが真に食道上皮幹細胞であることを証明する。 ④舌上皮組織についても単細胞RNAシーケンス法を用いて発現遺伝子の網羅的解析を行い、味蕾および糸状乳頭の共通の幹細胞について詳細に解析を進めていく。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Intestinal cancer stem cells marked by Bmi1 or Lgr5 expression contribute to tumor propagation via clonal expansion.2017
Author(s)
Hirotsugu Yanai, Naho Atsumi, Toshihiro Tanaka, Naohiro Nakamura, Yoshihiro Komai, Taichi Omachi, Kiyomichi Tanaka, Kazuhiko Ishigaki, Kazuho Saiga, Haruyuki Ohsugi, Yoko Tokuyama, Yuki Imahashi, Shuichi Ohe, Hiroko Hisha, Naoko Yoshida, Keiki Kumano, Masanori Kon and Ueno H.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Non-equivalence of Wnt and R-spondin ligands during Lgr5+ intestinal stem cell self-renewal2017
Author(s)
KS Yan, CY Janda, J Chang, GXY Zheng, KA Larkin, VC Luca, LA Chia, AT Mah, A Han, JM Terry, A Ootani, K Roelf, M Lee, J Yuan, X Li, CR Bolen,J Wilhelmy, PS Davies, H Ueno , RJ von Furstenberg, P Belgrader, SB Ziraldo, H Ordonez, SJ Henning, MH Wong, MP Snyder, IL Weissman, AJ Hsueh, TS Mikkelsen, KC Garcia, and CJ Kuo
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Journal Title
Nature
Volume: -
Pages: -
Int'l Joint Research
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[Journal Article] Bmi1-positive cells in the lingual epithelium could serve as cancer stem cells in tongue cancer2016
Author(s)
T Tanaka, N Atsumi, N Nakamura, H Yanai, Y Komai, T Omachi, K Tanaka, K Ishigaki, K Saiga, H Ohsugi, Y Tokuyama, Y Imahashi, H Hisha, N Yoshida, K Kumano, K Okazaki, and Ueno H
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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