2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02383
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 冬木 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30184493)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 雄一 千葉県がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (40303119)
藤芳 暁 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70371705)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | CST複合体 / 塩基除去修復 / 8オキソグアニン |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類CST複合体は、Ctc1, Stn1, Ten1からなる1本鎖DNA結合蛋白質複合体である。従来、CSTはDNA合成酵素αの活性化を介して、特にテロメアDNAの複製に必要であるとされていた。しかし、我々は以前より、CST複合体はテロメアに加えて非テロメア領域にも局在することを見出しており、CSTのテロメアに限らないゲノム全体にわたる機能が示唆されていた。 本年度の本研究によって、CSTはテロメアのみならず、グアニンに富む領域、特にグアニン4重鎖構造をとる領域に局在することが分かった。Ctc1欠損マウスMEF細胞は、野生型と同程度の増殖速度を示すが、抗8オキソグアニン抗体を用いることで、ゲノム全体にわたる8オキソグアニン量が増加していることが明らかになった。8オキソグアニンはグアニン塩基の酸化によって生じ、生体内においては塩基除去修復によって修復される。質量分析法によるCST複合体と結合する因子の検索によって、XRCC1をはじめとする塩基除去修復に必要な因子が複数同定された。また、試験管内塩基除去修復反応によって、人工基質を用いた場合に、Ctc1を免疫除去した細胞抽出液は、除去していない抽出液に比べて、塩基除去修復反応効率が低いことが明らかとなった。これらの結果は、CST複合体が塩基除去修復に必要であることをはじめて明らかにしたものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CST複合体がテロメアDNA複製以外の機能をもつことは、我々が示した従来からの知見によりある程度予想されていた。本年度の研究により、CST複合体が塩基除去修復反応に必要であることを試験管内修復反応系などの生化学的手法で示すことができたことは、本研究開始時には想定していなかった成果であり、当初の計画以上に進展していると自己評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究のもう一つの研究の柱である超解像度顕微鏡による細胞内テロメア構造の観察が、顕微鏡の完成に予想以上の時間を要したために、進捗が遅れ気味である。H28年度には、この研究の推進を期する。
|
Research Products
(12 results)