2016 Fiscal Year Annual Research Report
生物界の暗黒物質「未知アーキア」の解明―分離培養で開拓する多様な新生物機能―
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15H02419
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
井町 寛之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 主任研究員 (20361933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉木 秀幸 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究分野, 主任研究員 (00421842)
高木 善弘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 研究員 (10399561)
諸野 祐樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, グループリーダー代理 (30421845)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アーキア / 生物多様性 / バイオリアクター / 古細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
集積培養に成功している嫌気的メタン酸化反応に関与する未知アーキアの完全長ゲノム配列をメタゲノム解析により決定した。さらに、培養条件の改善ならびに大量培養を行うことにより、RNA-Seq法による代謝発現解析を行うことができた。得られたゲノム情報、mRNAの発現情報および培養条件から、本未知アーキアの代謝経路についての推定を行い、利用可能なエネルギー基質等の重要な情報を得ることに成功した。さらに本未知アーキアの詳細な細胞形態や構造を調査するために、電子顕微鏡による観察を行い、その細胞内構造を明らかにした。 下降流懸垂型スポンジリアクターを利用して海底堆積物や天然ガス鹹水に生息する未知アーキアの培養を初年度から引き続き行った。その結果、新たに海底堆積物中に優占化している別の未知アーキアを高度に集積培養をすることに成功した。この未知アーキアの16S rRNA遺伝子に特異的なプライマーセットを使った定量PCRにより、本未知アーキアの増殖の確認と増殖条件の検討を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
集積培養ができていた嫌気的メタン酸化反応に関与する未知アーキアの完全長ゲノム決定ならびにRNA-Seq法による代謝発現解析を行い、培養条件と組み合わせて考えることで、本未知アーキアの代謝経路を推定できたことは大きな前進であった。加えて、新たな未知アーキアの高度な集積培養にも成功できたことから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに培養に成功した未知アーキアのゲノム解析や電子顕微鏡による細胞形態観察を用いて行う。また、初年度から運転を行っている下降流懸垂型スポンジリアクターには多種類の未知アーキアが集積培養できているので、それぞれの未知アーキアの分離作業ならびにゲノム配列の取得を行う。
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Research Products
(11 results)