2016 Fiscal Year Annual Research Report
細胞壁マトリックス成分の合成・梱包・輸送と堆積のダイナミクス
Project/Area Number |
15H02454
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高部 圭司 京都大学, 農学研究科, 教授 (70183449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10293911)
飛松 裕基 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20734221)
粟野 達也 京都大学, 農学研究科, 助教 (40324660)
高野 俊幸 京都大学, 農学研究科, 教授 (50335303)
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60273489)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒノキ / 圧縮あて材 / ゴルジ装置 / グルコマンナン / キシラン / ガラクタン / 密度勾配遠心法 / ミクロソーム膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒノキ圧縮あて材の分化中木部を高圧凍結・凍結置換固定し、エポキシ樹脂に包埋した。包埋試料より超薄切片を作製し、抗グルコマンナン抗体、抗キシラン抗体、抗ガラクタン抗体を用いて、単独、又は組み合わせて免疫標識した。圧縮あて材の二次壁はS1層、S2層に分けられるが、S2層はさらに木化度の違いからoS2層(S2層外側)とiS2(S2層内側)に分けられる。抗グルコマンナン抗体を用いた標識では、S1層形成期で観察されたゴルジ装置のうち82%が標識され、oS2層形成期では74%、iS2層形成期では60%のゴルジ装置が標識された。抗キシラン抗体を用いた標識では、S1層形成期で44%、oS2層形成期で90%、iS2層形成期で88%のゴルジ装置が標識された。抗ガラクタン抗体を用いた標識では、S1層形成期で46%、oS2層形成期で74%、iS2層形成期で20%のゴルジ装置が標識された。例えばoS2形成期を例に挙げれば、グルコマンナン標識されたゴルジ装置の割合が74%、キシラン標識が90%、ガラクタン標識が74%である。これらを合計すると238%となり、100%を越えている。このことは、1つのゴルジ装置で2種類以上のヘミセルロースが合成されていることを示唆している。 ポプラ分化中木部を削り取り、スクロースを用いた密度勾配遠心法によりミクロソーム膜画分の分画を試みた。スクロース濃度0-20%界面、20-30%界面、30-40%界面、40-50%界面を取り出し、エポキシ樹脂に包埋した。包埋試料より、薄切片、超薄切片を切り出し、前者は抗キシラン抗体を用いた免疫蛍光標識、後者は免疫金標識に用いた。免疫標識は20-30%界面、30-40%界面に現れたことから、ゴルジ層板、あるいはゴルジ小胞由来のミクロソーム膜は上記の界面に存在していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒノキ圧縮あて材の分化中木部を用いたヘミセルロースの免疫標識では、1つのゴルジ装置が2種類以上のヘミセルロースを生合成している可能性が示された。この結果により、ヘミセルロースの二重標識などを行うことでゴルジ装置の機能を詳細に解明することが可能となった。 また、密度勾配遠心法によりゴルジ装置、あるいはゴルジ小胞に由来するミクロソーム膜画分が得られた。ゴルジ小胞由来の膜画分を大量に回収して、ヘミセルロースの化学構造を分析することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧凍結・凍結置換固定法で作製したヒノキやポプラの分化中木部を用いて、抗グルコマンナン抗体、抗キシラン抗体、抗ガラクタン抗体を組み合わせて用い、免疫二重標識をして電子顕微鏡観察を行う。このことにより、ヘミセルロース生合成に関するゴルジ装置の機能解析が行える。 密度勾配遠心法によりゴルジ小胞由来のミクロソーム膜画分が得られたことにより、今後はそれを大量に集め、化学分析に供する。 モノリグノール類の輸送に関しては、引き続き、密度勾配遠心法により得られたミクロソーム膜画分を用いて、輸送実験を行う。
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Research Products
(1 results)