2018 Fiscal Year Annual Research Report
細胞壁マトリックス成分の合成・梱包・輸送と堆積のダイナミクス
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15H02454
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高部 圭司 京都大学, 農学研究科, 教授 (70183449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 教授 (10293911)
飛松 裕基 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20734221)
粟野 達也 京都大学, 農学研究科, 助教 (40324660)
津山 濯 宮崎大学, 農学部, 助教 (40786183)
高野 俊幸 京都大学, 農学研究科, 教授 (50335303)
吉永 新 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60273489)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘミセルロース / リグニン / ゴルジ装置 / キシラン / コニフェリン / p-グルコクマリルアルコール |
Outline of Annual Research Achievements |
ポプラの分化中木部を削り取り、密度勾配遠心法を用いて液胞膜、ゴルジ装置、細胞膜に富む画分を得た。各画分を加水分解して中性糖組成を調べると、ゴルジ装置に富む画分のみキシロースが検出された。さらに各画分を樹脂包埋し超薄切片を作製した後にキシランの免疫標識をすると、ゴルジ装置に富む画分でキシランの標識が認められた。また同切片に脱アセチル化処理をした後にキシランの免疫標識をすると、標識密度は上昇した。ポプラの当年輪、前年輪、前々年輪の木部にキシランの免疫標識をすると、年数の経過とともに標識密度は上昇した。また各年輪に脱アセチル化処理をした後、同様にキシランの免疫標識すると、形成年の若い年輪ほど標識密度は上昇した。各年輪の切片より顕微FT-IRにより赤外吸収スペクトルを測定すると、カルボニル基に由来する1740cm-1の吸収が形成後の年数が増加するほど減少した。また同切片に脱アセチル化処理を行うと、処理前より1740cm-1の吸収が減少した。以上の結果は、ゴルジ装置で合成されたキシランはアセチル基に富み、細胞壁に堆積した後に脱アセチル化が進行することを示している。 ポプラ分化中木部を削り取り超遠心法によりミクロソーム膜画分を得て、p-ヒドロキフェニルリグニンの前駆物質の輸送活性を調べると、ATP存在下でp-グルコクマリルアルコールが輸送されることが判明した。さらに、各種阻害剤を用いて輸送活性を調べた所、V-ATPaseが作り出すプロトン勾配を利用してp-グルコクマリルアルコールが輸送されることが判明した。この結果は、コニフェリンの輸送と類似していた。 材を形成中のモウソウチクよりミクロソーム膜画分を得てリグニン前駆物質の輸送活性を調べた所、ATP存在下でコニフェリンの輸送活性が認められた。モウソウチクにおいても、ポプラやヒノキと同様なコニフェリン輸送メカニズムが存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キシランの免疫標識法や赤外吸収スペクトル法より、形成中、および形成直後のキシランは高度にアセチル化されており、エイジングによりキシランのアセチル基が徐々に外れることが判明した。また、p-ヒドロキシフェニルリグニンの前駆物質と思われるp-グルコクマリルアルコールがV-ATPaseが作り出すプロトン勾配を利用して輸送されることが明らかになった。これらは、昨年度に掲げた「今後の研究の推進方策」に概ね合致しており、期待していた研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
高度にアセチル化されたヘミセルロースが、細胞壁に堆積後にどのようにセルロースミクロフィブリルやリグニンと3次元的構造を形成していくのかを明らかにすることである。そのために、選択的なヘミセルロースの酵素分解による細胞壁の構造変化を、高分解能捜査電子顕微鏡や透過電子顕微鏡で観察する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Distribution of lignin hemicellulose and arabinogalactan protein in hemp phloem fibers2018
Author(s)
Kyoto S., Yoshinaga, A., Fernandez-Tendero, E., Day, A., Chabert, B., Takabe, K.
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Journal Title
Microscopy and Microanalysis
Volume: 24
Pages: 442-452
DOI
Peer Reviewed
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