2015 Fiscal Year Annual Research Report
造血器腫瘍におけるポリコーム群複合体機能異常の病因論的意義の解明
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15H02544
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩間 厚志 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70244126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁田 英里子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80401123)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポリコーム群遺伝子 / Ezh1 / Ezh2 / 骨髄異形成症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは以前、造血細胞特異的 Ezh2 欠損 (Ezh2Δ/Δ) により骨髄異形成症候群(MDS)様病態がマウスで再現されることを示した。Ezh2 欠損直後には多くの Ezh2 標的遺伝子の発現抑制が解除されるが、長期観察後の病態発症時には、それら遺伝子の多くの発現が再度抑制される傾向が確認された。クロマチン免疫沈降シークエンス (ChIP-seq) により、H3K27me3レベルがEzh2欠損直後 (1Mo) には一度減少し、病態発症時 (9Mo) には多くの遺伝子で回復することが明らかとなった。このH3K27me3 レベルの回復は、Ezh2 欠損状態における唯一のH3K27me3 酵素であるEzh1の代償的機能によるものである。さらに、造血細胞特異的 Ezh1, 2 同時欠損 (Ezh1-/- Ezh2Δ/Δ) 状況では、造血が維持できず造血腫瘍も発症しない事から、Ezh1 は、Ezh2 欠損型造血器腫瘍の発症・維持に必須であり、Ezh2 欠損時には癌遺伝子として機能するものと考えられた。そこでEzh1の機能をより詳細に理解するために、骨髄移植により造血細胞特異的な Ezh1,2 ノックアウトマウスを作製し、造血幹・前駆細胞を純化し、RNA シークエンス (RNA-seq) およびクロマチン免疫沈降シークエンス (ChIP-seq) を行った。Ezh1-/-Ezh2Δ/Δ 造血細胞は急速に枯渇するため、まず、Ezh1+/-Ezh2Δ/ΔがEzh1-/-Ezh2Δ/Δと同様に造血細胞が枯渇する傾向があるが、その過程は緩やかである事を確認した。このデータをもとにEzh1+/-Ezh2Δ/Δ を用いてEzh2 欠損下における Ezh1 の機能を調べている。また、申請者らは、分子機構を詳細に解析するため、3xFlagタグ付きEzh1 ノックインマウスを新規に作成し、Ezh1の発現を確認し、ChIP-seq解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画はおおむね順調に進行しており、次年度につながる結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
① Ezh2 機能異常を伴うMDS 病態におけるヒストン修飾異常の同定とEzh1 機能の検証 平成27 年度に引き続き、MDS 病態形成・維持におけるEzh1 とEzh2 の機能を明らかにする。また、作製したEzh1 ならびにEzh2 を血液細胞特異的に過剰発現可能なマウスを用いて、Ezh1, Ezh2 発現増強の造血へのインパクトを検証することにより、MDS におけるEzh1 の癌遺伝子としての機能を検証する。 ③ non-canonical PRC1 複合体の造血制御における機能解析 PRC2 遺伝子異常に加えて、non-canonical PRC1 複合体構成遺伝子BCOR, BCORL1 にも機能喪失型変異がMDSやAMLにおいて同定されている。BCOR を含むnon-canonical PRC1 複合体 (PRC1.1: Bcor,Pcgf1, Kdm2b/Fbxl10,Ring1a/b を含む) はH2Aub1 の修飾を担うとされているが、その機能は未だ十分解析されておらいない。申請者らは既にPcgf1Δ/Δ マウスの造血の解析を開始しており、Pcgf1 を欠損すると造血幹細胞に異常はないものの、骨髄球分化が増強し、約半年でMPN 様病態を呈する。これら遺伝子欠損マウスを用いて造血幹・前駆細胞におけるPcgf1 の標的遺伝子とヒストン修飾に対する影響をChIP-sequence ならびにRNA-sequence を用いて検討し、canonical PRC1 やPRC2 との比較検討を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Ezh2 regulates the Lin28/let-7 pathway to restrict activation of fetal gene signature in adult hematopoietic stem cells.2016
Author(s)
Oshima M, Hasegawa N, Mochizuki-Kashio M, Muto T, Miyagi S, Koide S, Yabata S, Wendt G, Saraya A, Wang C, Shimoda K, Suzuki Y, Iwama A.
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Journal Title
Exp Hematol
Volume: 44
Pages: 282-296
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Non-lethal ionizing radiation promotes aging-like phenotypic changes of human hematopoietic stem and progenitor cells in humanized mice.2015
Author(s)
Wang C, Oshima M, Gashida G, Tomioka T, Hasegawa N, Mochizuki-Kashio M, Nakajima-Takagi Y, Kusunoki Y, Kyoizumi S, Imai K, Nakachi K, and Iwama A.
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Journal Title
Plos One
Volume: 10(7)
Pages: e0132041
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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