2017 Fiscal Year Annual Research Report
つっかえタイプの非流ちょう性に関する通言語的調査研究
Project/Area Number |
15H02605
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
定延 利之 京都大学, 文学研究科, 教授 (50235305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 良子 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20347785)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非流ちょう性 / 文法 / 膠着性 / つっかえ / 文節 / こまぎれ発話 / アクセント / コピュラ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず、非流ちょう性全般に関する考察を深め、次に、そこで得られた新たな知見を、流ちょうな発話にも当てはまる知見に一般化することができた。これは、文法は、日流ちょうな発話専用の規則性など設けてはいないということである。非流ちょうな発話に見られる規則性は、流ちょうな発話にも見られる規則性であり、それが形を変えて、非流ちょうな発話に現れている。 つまり、非流ちょうな発話は、規則性を見出すための「ブラックライト」と言うことができる。これまでの文法研究は、アナウンサーがしゃべるような流ちょうな発話ばかりに注目し、規則性を見出してきたが、曲がり角に来ている。目先を変えて、非流ちょうな発話を見ることで、これまで発見できなかった規則性を見出すことができる。かつて、文法研究(たとえば日本語研究)は学習者(日本語学習者)がおかす誤用にヒントを得て、進展することができた。新たな進展を生む契機として、非流ちょうな発話を利用できる可能性を追求したことになる。 また、発話全体の規則性を明らかにし、そこに文文法を取り込むことによって、従来の文文法の改変を試みた。特に中心となったのは、具体的には、感動詞とオノマトペといった、従来の文文法の中でも特殊な扱いをされていたものであり、その変則性を、発話の規則性に置き換える試みをおこなった。 さらに、非流ちょう性の文法考察の前提となる、動的な言語観の肉付けとして、発話の調音動態を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
このプロジェクトの最終目的である、膠着性と非流ちょう性発話とのつながりについて、学会誌に論文が掲載されることが、既に決定したので、当初の計画以上に進展と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、我々の最も中心的な知見を学会誌を通じて発表するとともに、周辺的な知見も一部合わせて、一般向けの図書で公表する。また、それを基にしたディスカッションを中心とする会議を開催し、このプロジェクトを通じて築かれた国際的な研究者間の人的ネットワークのさらなる拡充を志す。
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Research Products
(28 results)