2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02665
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 豪 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40312631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
全 眞嬉 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80431550)
Korman Matias 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (80732718)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルゴリズム理論 / 計算幾何学 / 動力学的データ構造 / 時系列データ処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、世界第一線の研究者と討議し、研究を進展させた。具体的には、5月に山形において日本-オランダの二か国間交流セミナーを行った。ここでは、特に計算幾何学での軌跡データについての研究実績のあるオランダの研究者と日本の研究者、更には第三国の研究者大学院学生を合わせて30人ほどが参加し、1週間の合宿により共同研究を行なった。さらに、11月に湘南セミナーハウスにおいて、グラフ理論を本テーマに活用するワークショップを行い、オーストラリアシドニー大学のHong教授をはじめ20人ほどのトップクラス研究者との共同研究を行った。また、台湾の国立台南国際大学とのジョイントワークショップ及びドイツブルツブルグ及び山形県蔵王町における2回のKorean Workshop on Computational Geometryの企画に参画し、研究打合せを行うとともに、多くの訪問研究員を受け入れた。 平成28年度の代表的な成果は下記の2つのテーマにおけるものであり、その他の関連研究も実施した。 1.計算幾何学の主要な構造に対する動力学的データ構造の検討 計算幾何学の主要な構造である幾何学的最小木に関して、複数の最小木における平面点集合のカバーを考え、マトロイド理論を用いた新しいアルゴリズム設計と解析手法を提案した。この成果は国際論文誌CGTAに投稿し、採録が決定している。さらに、最小木のパッキング最適化問題に関する最新のアルゴリズム研究を実施し、ISAAC 2016国際会議での発表を行った。 2.効率的な動的通信ネットワーク設計のための計算幾何学的考察 連続的に移動する動的センサーネットワークにおけるインターフェランス(電波干渉)に関して、理論的な成果をあげ、European Symposium on Algorithmsで論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
順調に理論研究を行い、論文の発表を行い、計画以上に進展している。 特に、研究テーマの初期の大きな目標であった、連続的に移動する動的センサーネットワークにおけるインターフェランス(電波干渉)に関して、理論的に優れた成果をあげ、European Symposium on Algorithmsで下記の論文発表を行った。 Jean-Lou De Carufel, Matthew J. Katz, Matias Korman, Andre van Renssen, Marcel Roeloffzen, Shakhar Smorodinsky: On Interference Among Moving Sensors and Related Problems. ESA 2016: 34:1-34:11 インターフェランスの制御はセンサーネットワークの設計では非常に重要なテーマであり、耐災害アドホックネットワークの実現等の重要な応用を持つ。この成果は、動的なセンサーネットワーク解析としては、世界で初めての成功例であり、高く評価できる。 また、国際共同研究も、日本―オランダの共同研究体制を確立し、計算幾何学に関する国際ワークショップの企画・開催や、湘南セミナーハウスにおけるワークショップの主催、韓国、オランダ、台湾、イスラエル、ドイツなどとの共同研究など、非常に活発に実施し、世界的な研究拠点として認識され、著しい成果をあげている。アルゴリズム実装に関しては、学生および研究員によって、一部の実装を行っている。これに関しては、ImPACTのロボットデータ解析への応用が新たな展開として生じており、理論の実用化に向けて、今後更なる実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以後は、理論研究と同時に、応用研究も視野に入れた研究推進を行い、特にImPACTプロジェクトで必要とされるデータ解析の数理モデル化とアルゴリズム設計をショーケースに、実用的な効果を実装と実験によって明確化する予定である。 また、これまでに築いてきた国際共同研究の体制の強化を行う。具体的には、平成29年度には、EuroCG国際会議(4月、スウェーデン、Korman参加予定)での論文発表を行い、また、AAAAC国際会議(5月、香港、徳山参加予定)での研究発表を行う。また、計算幾何学で最大の国際会議であるSoCG国際会議(6月、オーストラリア、Korman参加予定)での研究発表を行う。さらに、4月にドイツ、Dagsthulで開催される計算幾何学の国際ワークショップに全およびKormanが参加し、共同研究を実施するとともに、世界の最先端研究者との新たな協力体制の強化を行う。さらに、5月には日洪最適化シンポジウムがブダペストで開催され(徳山が組織委員として参画)、7月には日韓アルゴリズム理論ワークショップWAACがソウルで開催され、徳山と全が参加する予定であり、12月には、アジアでの計算理論の最大の学会であるISAAC国際会議を徳山がプログラム委員長として開催(タイ、プーケット)する予定であり、Kormanが研究発表を行う予定である。平成30年度以降も、このような国際共同研究を引き続き行い、計算幾何学としての世界的研究拠点の活動を継続する。その費用の一部を、本科研費から拠出する予定である。また、並行して、現在実施しているImPACTタフロボティクスの2つのプロジェクトの基盤となる動力学的データ構造と幾何学データ処理におけるアルゴリズムの実用化を検討し、学生を中心に計算機実験を実施する。
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Research Products
(15 results)