2016 Fiscal Year Annual Research Report
低い管理コストで長期運用できる実用的な省電力無線センサネットワークの研究開発
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15H02691
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
吉廣 卓哉 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (80362862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 章宏 和歌山大学, システム情報学センター, 助教 (30711551)
川橋 裕 (泉裕) 和歌山大学, システム情報学センター, 講師 (50304192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | センサネットワーク / MACプロトコル / 経路制御プロトコル / 運用管理 / 低消費電力 |
Outline of Annual Research Achievements |
提案手法であるMAC及び経路制御手法に関しては,前年度に提案したプロトコルをさらに発展させ,性能評価を行った.具体的には,センサ端末の故障等によりネットワークトポロジが変化した場合に,データ配送木を動的に再構築する方式を発展させ,局所的に修復できるようにすることで,トポロジ変化に対するネットワーク全体での消費電力の大幅削減を実現し,また,ネットワークの規模によらず各ノードがトポロジ修復に関わる頻度を一定程度にすることによって,スケーラビリティを確保した.本手法に関して口頭発表を4件実施し,うち一つでは最優秀論文賞を受賞した. ビーコン送信タイミングのスケジューリングに関しては,前年度に開発した効率的なプロトコルをシミュレータNS-3に実装し,評価を行った結果,これまでに提案されているスケジューリング法と比較して,データ配送にかかる伝送遅延時間を削減できることが明らかになった.同時に,消費電力も低くできることが明らかになり,従来手法と比較した優位性が明らかになった.本成果をIEEEの規模の大きい国際会議にて発表した. センサネットワーク管理ツールに関しては,提案手法をContiki OSに実装した上で,付属のシミュレータによりノード故障シナリオの運用データを作成し,実装した提案ツールに適用して評価を行った.その結果,従来のネットワーク管理の知見に基づいたシステム設計により,センサ端末の故障やリンク輻輳の状況を適切に把握できる可能性があることが示された.一方で,大規模ネットワークや長期的なネットワーク管理データを扱う場合のスケーラビリティの問題が発見されたため,管理ツールのユーザインタフェースの再設計を行い,概ね設計を完了した.当初設計とその評価に関する成果を国際ワークショップにて発表し,推薦された論文誌への掲載が決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実機実装を進める予定であったが,シミュレーション評価における消費電力モデリングにおいて,前年度に購入して実装を検討していたTelosBの性能が,最新のセンサ端末と比較して大幅に劣ることが明らかになった.IEEE802.15.4の標準化により多くの現行端末がこれに対応して,通信速度を高く設定したため,ビーコン送信にかかる消費電力が小さくなり,ビーコン削減による電力消費の削減を謳った提案手法の有効性を再検証する必要性が生まれた.再検証の結果,最新のセンサ端末でもビーコン前後の受信待機電力が大きいため提案手法が有効であることが理論上は明らかになったが,実機評価のためには,日本で入手できる適切な端末を用いた評価が必須である.このための遅延が避けられないため,当初予定から遅れる結果となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては,まず,実機評価が可能であるかを見極める必要がある.新たなセンサ端末を選定・入手し,技適を取得した上で実装し,管理ツールを含めた全体を評価することがスケジュール的に可能かどうかを見極める必要がある.これが難しい場合には,全体評価ではなく,個別に最適な方法で評価を行う方針に切り替える.MAC及び経路制御手法に関しては,最新のマイクロチップ・通信チップの事情の調査を終え,シミュレーションにおける現実をより反映した消費電力モデルの構築が可能になったため,シミュレーション評価でより精密な評価を行う方針に切り替えることが考えられる.また,最新の評価によって,提案手法をさらに改善できる可能性が明らかになったため,さらなるプロトコルの改善を実施する. ビーコン送信タイミングのスケジューリングに関しても,さらなる改善の方向性が明らかになっており,その方向で改善を行う. センサネットワーク管理ツールに関しては,既存のマルチホップ通信可能なセンサ端末を導入し,その運用ログを用いて実用性の評価を行うことが可能であると考えられる.そのようなセンサ端末導入の検討を行い,実際に動作・運用をした上で,そのログを用いた評価実験を検討する予定である.
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Research Products
(9 results)