2015 Fiscal Year Annual Research Report
O(1億)コア環境におけるスケーラブルな数値計算ソフトウェアの理論と応用
Project/Area Number |
15H02709
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
今村 俊幸 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究機構, チームリーダー (60361838)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 祥栄 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 特別研究員 (10721045)
深谷 猛 北海道大学, 学内共同利用施設等, 助教 (30633846)
廣田 悠輔 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 特別研究員 (60709765)
椋木 大地 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 特別研究員 (90742289)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 非同期アルゴリズム / 超メニイコア / スケーラブル / 自動チューニング / 通信同期回避 / 時間方向離散 / 異粒度数値カーネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、数万から数億のコアプロセッサが搭載される計算システム環境下において、過去に蓄積された高性能な数値計算サービスを新しい数学原理に基づき早期に実現することを目的にし、「異粒度数値カーネル構築」と共に「非同期的な数値計算アルゴリズム」の2大テーマのもと、1)非同期的数値計算アルゴリズムの理論、2) 超メニイコアでのスケーラブルな軽量コード生成のための自動チューニング・通信同期回避技術などの核基盤技術の研究により次世代数値計算ソフトウェアの新技術創出に繋がる新機軸探究を進める。 2015年度は、非同期アルゴリズムの理論的研究のスタートアップとして、非同期アルゴリズムの理解のための予備調査と呼び実装を中心に実施した。主な成果は以下のようになる。1)【廣田・大井】による 非同期アルゴリズムの理論的研究の予備的な調査に関して、非同期型数値計算アルゴリズムと時間方向離散化手法の非同期原理の研究、2)【今村・深谷】による既存の非同期アルゴリズムや関連アルゴリズムの分析と拡張、3)【今村・椋木】による非同期アルゴリズム構築に必要なコンパクトなカーネル生成技術の研究
具体的には1)ではEdmond Chowの非同期LU分解とそれ以前に存在したJacobi/Gauss-Seidel型混合の定常反復型スキームについて、それらアルゴリズムのデータ依存関係と選択条件などを中心にしたアルゴリズム構成の一般化を議論した。非同期型1つの凡例化の可能性をある程度見出すきっかけとなる事例分析はできたと考えられる。また、2)では通信発行回数を2/5程度に削減する通信回避型アルゴリズムを実装し、固有値ソルバーにおいておよそ20%程度の計算時間削減に成功している。
など、当初の研究計画に従って設定した予備調査としては一定以上の成果が得られている。初年度の課題遂行は順調と判断される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非同期LU分解とそれ以前に存在したJacobi/Gauss-Seidel型混合の定常反復型スキームについて、それらアルゴリズムのデータ依存関係と選択条件などを中心にしたアルゴリズム構成の一般化を議論した。非同期型1つの凡例化の可能性をある程度見出すきっかけとなる事例分析はできたと考えられる。 また、代表者が従来から開発している固有値ソルバーにおいて通信回避型の新規アルゴリズムを採用することにより、通信オーバヘッドの削減により、全体で20%程度の時間削減が大成されるなど、非同期もしくはそれに関連する技術に対して一定の効果を認める研究成果も得られており、国際会議においても成果を発表できている。 さらに、GPU上のコンパクトなカーネル生産技術の研究では、GPUにおけるマルチスレッディング動作をモデル化することで,プログラムを実行する状況に応じて適切なスレッドブロックサイズを自動的に決定する方法を提案もなされ、次年度に成果報告を予定できている。 なお、当該年度において購入を予定していたメニイコアサーバ等がベンダーの開発遅延により実施できず、実機による実験のための環境整備ができていない点が次年度以降の研究遂行において問題となる可能性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度実施した予備調査の成果をもとに、本研究課題が目指す非同期的な数値アルゴリズムの具体化とともに、それをコンピュータ実機上で実現するための環境整備を実施する。なお、サーバー導入が初年度にできなかった点は、市場の動向に合わせて適切な規模のサーバーの導入もしくは各情報基盤センター等の導入新機種の共同利用契約により研究の遅延が発生しないように進めていく。
|
Research Products
(12 results)