2016 Fiscal Year Annual Research Report
情報理論的暗号理論における統一的パラダイムの構築とその応用
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15H02710
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
四方 順司 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (30345483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 勉 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (40183107)
岩本 貢 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50377016)
太田 和夫 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80333491)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 暗号理論 / 情報理論 / 情報理論的安全性 / 暗号 / 認証 / 署名 / 鍵共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の情報理論的安全性には、その定式化において暗号学的観点からの操作的意味づけが不明確である場合や、安全性と効率性の限界、それらのトレードオフが理論的に不明確である場合が多い。本研究では、暗号理論と情報理論に跨る多様な概念を俯瞰的かつ体系的に扱うことのできる統一的パラダイムを構築することを目的としている。
平成28年度は、前年度の理論的成果をさらに発展させて完成度をあげた論文の発表を行った。暗号理論における計算量的安全性、情報理論における情報理論的安全性を体系的に俯瞰的立場から眺め、その観点から暗号化方式、認証方式、秘密分散法に関わる様々な多機能性や安全性の概念を定式化し、それらをみたすシステム構成法の提案を行った。例えば、暗号化における無効化機能、秘密分散におけるタイムリリース機能、暗号化状態での検索機能等がこれら成果に含まれる。特に、情報理論的安全性をもつ検索可能暗号の数理モデルやシステム構成法の提案は世界初の成果であり、これは暗号理論と情報理論双方の観点から、それぞれの理論的特長を生かすことで達成できた成果である。また、非一様な物理乱数から真正乱数を生成する手法(Eliasの手法、Peresの手法)に対して、その実用性を非漸近的立場から評価するため計算機実装実験を行った。さらに、情報理論的指標や情報理論的安全性の概念を利用し、計算量的安全性をもつ暗号技術や、ネットワークセキュリティでの研究成果へ応用することができた。そして、上記の研究成果は国内外の会議や論文誌で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記述したように、本研究課題を解決するにあたり、理論面および応用面の双方から十分な研究成果を出せたと考える。したがって、進捗状況は、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて、研究者間で密に議論を重ねることで、これまでの理論的研究成果を更に発展させ、認証技術に対する統一的パラダイムの構築に関する理論的成果をだすことを目指す。 また、応用面において、これまでの研究はおおむね順調に進展しているが、引き続き、以下の4項目の研究課題を高い完成度で解決することをめざす。 (1) 計算量的安全性をもつ暗号技術構成への応用 (2) 理論研究で得られた成果の実用性を数値実験的に実証するための計算機実装実験 (3) 実用的視点から暗号基礎技術の適切なパラメータ設定 (4) 長期間の安全性が必要とされる暗号技術への応用
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Research Products
(39 results)