2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02726
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
河原 英紀 和歌山大学, 学内共同利用施設等, 名誉教授 (40294300)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
西村 竜一 和歌山大学, システム工学部, 助教 (00379611)
松井 淑恵 和歌山大学, システム工学部, 助教 (10510034)
戸田 智基 名古屋大学, 情報基盤センター, 教授 (90403328)
坂野 秀樹 名城大学, 理工学部, 准教授 (20335003)
榊原 健一 北海道医療大学, 心理科学部, 准教授 (80396168)
森勢 将雅 山梨大学, 総合研究部, 助教 (60510013)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 音声情報処理 / 音声分析変換合成 / 基本周波数 / 声帯音源 / オープンソース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、(1)静的表現に基づくSTRAIGHTの再構築、(2)疎な表現からのスペクトル形状復元技術、(3)汎用情報基盤へのツール群の実装、という3つの目標の実現に向けて、(1)基盤となる理論の構築とアルゴリズムの開発、(2)汎用情報基盤に適したアルゴリズムと実装技術の開発、(3)評価用データベースの構築および評価用応用アプリケーションの開発、(4)客観評価実験および主観評価実験の遂行、を担当するグループにより、相互の密接な連携の下に研究を進めることとし、研究を開始した。 初年度にあたる平成27年度においては、基盤となる情報表現の理論的追求とアルゴリズムの開発を進めた、特に音源情報である基本周波数F0と非周期性指標についての検討を進めるとともに、それらの検討を進めるための基盤として、対話的に音声生成過程をシミュレートするシステムを構築した。この過程で、有声音生成の基盤であり、これまで内外で広く用いられてきた声帯音源波形モデルに、この種のシミュレートに用いる上で根本的な欠陥があることを発見し、閉じた形式の数式による解を明らかにした。この解は、本研究計画を進める上で非常に重要な役割を果たすとともに、音声分析合成の分野に、これまでにない強力な研究手段を提供するものであるため、オープンアクセスで会議資料を公開しているASPIPAにおいて成果発表するとともに、対話的ツール自体を、オープンアクセスのソフトとして公開した。これらは、平成28年度以降の研究を大きく推進するための、重要な基盤となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に発見された声帯音源モデルの閉じた数式での表現は、想定していた研究計画を格段に高度化・効率化・精密化することを可能にする大きな成果である。その波及効果として、情報表現自体を、当初想定していたものよりも、見通しが良く、しかも効率的な表現として再構築できる可能性が明らかとなった。また、それらにより開発される情報表現および、その情報表現を推定する方法は、これまで困難であった、実際の音声の声帯音源を記述するための、新しい理論的基盤を提供する。これらは、当初計画では想定できていなかった成果であり、本課題の平成28年度以降の成果を、より大きなものとすることが期待できる。これは、当初計画を上回る、本質的な進展である。 なお、年度途中で英国Googleに客員研究員として一時参加する機会を得て、本課題の推進に大きく資する知己と刺激を受けたことを付記する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、この新しく発見された声帯音源モデルの閉じた数式での表現とそれを用いたツールを活用して、情報表現の研究を本格化するとともに、評価用データベースの構築と、評価実験の基盤作成を進める。この発見の波及効果の大きさには、これまでに想定していいなかった可能性が隠されていると予想されるため、進展に応じて、柔軟に戦略を更新して対応することとしたい。 また、この際、英国Googleへの参加で得た人脈や刺激を生かして、成果を適宜適切に社会に還元することに留意したい。
|
Research Products
(21 results)