2017 Fiscal Year Annual Research Report
Comparing the comprehensiveness of English speech with the degree of Japanese accent using synthesized Japanese-English bilingual speech
Project/Area Number |
15H02729
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (00329054)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 順一 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (70709352)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 第二言語音声習得 / 音素習得 / 異音 / 知覚認識 / 感度指数 / 流音 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本語話者にとって一番苦手な英語音素である/l/と/r/の知覚と産出と、音素としての習得とその定着を中心に研究を行った。 高校の協力を得、モデルの発音の標準アメリカ英語の円唇を伴う歯茎接近音の/r/調音の指導を続けた結果、生徒の/l/と/r/の識別の知覚実験の正答率(%)が、指導開始前と比べて66.73%(pre-test) から77.78%(post-test)に上昇した。また感度指数(d’)を求めて比較したところ、指導開始前のd’値は0.98(pre-test)、指導修了後は1.83(post-test)と有意に上昇した。つまり、調音の指導が知覚能力に好影響を与え、知覚上/l/と/r/の識別ができるようになったといえる。しかし、他の英語方言では必ずしも/r/の調音が/(後部)歯茎接近音とは限らない。そこで、/r/に日本語のラ行の子音と同じ歯茎弾き音で調音することが多いスコットランド方言話者の音声で、同じ知覚実験をしたところ、調音指導の効果はほとんど見られなかった。調音指導修了後の知覚テストの素点は67.35%(post-test)、感度指数(d’)も1.0(post-test)で、両方とも伸び率に有意な差は見られなかった。また、post-testのアメリカ英語とスコットランド英語の正答率も感度指数(d’)を比較したところ、どちらにも有意な差が見られた(p<.05)。 英語母語話者(例えばアメリカ英語方言話者)は、スコットランド英語を聞いたときにも/l/と/r/の区別ができないことはない。しかし、この結果から、英語の/l/と/r/の知覚は正しい調音指導で、日本語母語話者も/l/と/r/習得が可能であるが、流音が必ずしも音素として習得されているわけではなく、L2音素の異音に対しての音素認識までは至っていないらしいことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二言語の音素の習得のために、ある程度長期にわたり継続的に同じ被験者に対して、発音の指導を行うことが大学ではなかなか難しい現状があったが、幸い研究に協力してくれる高校が見つかり、また適切な調音指導ができる教員がいたため、病欠等のために被験者の数は少なめではあったが、一学期間しっかりデータを採ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の結果を基に、日本語と英語双方の音素体系また知覚・産出の問題がはっきりしてきたので、これらの結果を基にバイリンガル合成音を使った実験をこれから行っていく予定である。
|
Research Products
(9 results)