2016 Fiscal Year Annual Research Report
クラウドソーシングのためのヒューマンセントリックメカニズム設計理論の構築
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15H02751
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
櫻井 祐子 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (10396137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 真 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20380678)
篠田 正人 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (50271044)
松田 昌史 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 研究主任 (60396140)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クラウドソーシング / メカニズムデザイン / マルチエージェントシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,インターネット上で不特定多数の人々に作業を委託するクラウドソーシングを効果的に行うためのメカニズム設計技術を確立することを目標にしている.クラウドソーシングは様々な分野で活用されているが,仕事の割当てや報酬の設定には理論的裏付けのないアドホックな方法が適用されている.メカニズム設計理論は社会的に望ましい資源配分に有用であるが,従来,理論的な解析を可能にするため,参加者に関して,クラウドソーシングの状況では不適切ないくつかの前提をおいていた.本研究では,これらの前提を再検証し,人間の実行可能性を重視することでメカニズム設計理論をヒューマンセントリックな観点で再構築することを目的とする.本年度は,公平性に着目した研究,投票に関する研究を実施し,研究成果を挙げることができた.まず公平性に関しては大きく2つの研究を実施した.一つ目は各ワーカの能力推定を公平に行うために,協力ゲームにおけるシャプレイ値を適用した手法の検討を行った.本研究成果は人工知能学会全国大会での発表,集合知に関する国際会議のCollective Intelligence (CI-2016)にてポスタ発表を行った.二つ目は,ワーカに対して計算リソースを公平に分割するための手法として,計算機科学における古典的な問題の一つであるケーキ分割問題として定式化し,戦略的操作不可能なメカニズムと架空名義操作不可能なメカニズムの提案を行った.この研究成果は国際論文誌に採択された.投票に関する研究をについては,マルチエージェントシステム関連の国際会議のInternational Conference on Princiles and Practice of Multi-Agent Systems (PRIMA-2016)に採録され,発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クラウドソーシングを対象にヒューマンセントリックなメカニズムデザイン理論の構築を目標とし,今年度は特に「公平性」に着目して研究を実施した.今年度,国際論文誌採択,国際会議でのポスタ採録などを研究成果として挙げることができ,おおむね順調にし進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は更に人間の要素を考慮するために,社会心理学における知見を活かしてクラウドソーシングに関する研究を行うともに,実際のサービスを利用して設計メカニズムの有用性及び妥当性の検証を行っていきたい.また,本研究で得られた人間の行動モデルを,クラウドソーシング以外の他のサービスの基盤理論として展開できるかどうかに関する可能性についても検討を行っていきたい.
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Research Products
(6 results)