2016 Fiscal Year Annual Research Report
伝統技能の保存継承のための技能素による多機能アーカイブのタメとキレによる高度化
Project/Area Number |
15H02769
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
渋谷 雄 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (70226190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 一成 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (00127169)
芳田 哲也 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (00191601)
山本 景子 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 助教 (10585756)
辻野 嘉宏 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (20172009)
倉本 到 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (20333502)
小山 恵美 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (80346121)
野宮 浩揮 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (80533116)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 伝統技能 / アーカイブ / モーションキャプチャ / 視線移動 / 筋放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
伝統技能における基本的な動作や「間」に関するデータを効率的に保存・検索できるアーカイブの構築を目的として,モーションキャプチャから得られる身体の各部位の位置変化を符号化する手法の改善を行った.符号化の際に特徴選択を導入することにより,これまでの手法と比べて,より精度が高くコンパクトなデータを生成することが可能となった. このシステムでは,動作をXMLで構造的に記述し,その情報に基づいて動画のような時系列変化する情報を適切に評価者(伝統技能を有する人)自身で確認できるようになり,タメとキレの精緻な評価に用いることができると期待される. また,茶道における仕草のタメとキレ動作と視線移動との関係を調べる目的から,自然な動作を可能にする簡易視線移動装置の可能性を探っている.従来の計測法では装置を装着することによる違和感を考慮していない.このため,より自然な形での仕草が取れないので,不自然な動作が混入するという問題があった. さらに,「京金網」の亀甲編み技法に着目し,年長および中堅職人を対象として,技能動作中の生体信号と製作した製品を定量評価し,その関連性を解析した.年長職人は製品製作中に現れた筋放電パターンから,針金をねじる際に左右の腕をバランスよく用い,最小限の力で編んでいるのではないかと推測できる.また脳波のαブロックがみられなかったことから,視覚情報に頼らず,自身の経験から身体に刻み込まれた亀甲編み動作のリズムパターンに則って手指を動かしていると考えられる.その結果,製品のねじり部分の針金同士が隙間を有した状態でゆるく交差されていた.一方,中堅職人は脳波のαブロックがみとめられ,眼電位と筋放電との同期がみられることから,視覚情報に頼った状態で作業を行っており,針金をねじる際に左右の腕から同じような力で筋放電を行っているため,針金がきつく交差しており,ねじり部の隙間がみられなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・伝統技能における特徴的な動作を正確かつ簡潔に表現するためのアーカイブ作成についての検討は進んでいるが,効率的な検索法は未だ確立していない. ・簡易視線移動計測装置の精度が低いため,仕草に現れるタメとキレの動きとの関係を見るにはさらなる改良が必要である. ・熟練職人の生体信号を計測し,制作物と生体信号の関係性を一定程度定量化することに成功したが,実時間で生体信号を計測してトリガをかけられるかどうかの解析がまだ残っている.
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Strategy for Future Research Activity |
・伝統技能の保存と継承を目的として,作成した動画提示システムの高度化をはかる. ・伝統技能における基本動作や間を効率的に検索する手法を確立する.また,計測により得られた様々なデータを用いて,実際にアーカイブを作成し,検索精度や検索速度の評価を行う. ・簡易視線移動計測装置の測定限界の判定を急ぎ,タメとキレとの関係について検討する. ・熟練職人と中堅職人とのパターンの定量的差異をより明確にして,動作とリンクする生体信号の実時間での解析に取り組む.
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Research Products
(20 results)