2017 Fiscal Year Annual Research Report
認知行動科学に基づく個人鑑賞タイプに合わせた全方位景観鑑賞ナビゲーション環境構築
Project/Area Number |
15H02784
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
北島 宗雄 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (00344440)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中平 勝子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (80339621)
尾久土 正己 和歌山大学, 観光学部, 教授 (90362855)
小竹 元基 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (10345085)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 認知科学 / モデル化 / 人間生活環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,移動しながら能動的に視覚刺激を受ける経験の蓄積により質の高い知識を獲得できるようなナビゲーション環境の構築を最新の認行動知科学の知見に基づいて構築する.能動的なナビゲーション行動は,多くの情報が取り交わされるインタラクトの形式であり,意識的/無意識的行動を含む複雑系の特徴を有する.そこで,本研究では,人間の日常的な意識的/無意識的行動選択過程をシミュレートできる認知機構 MHP/RT を基盤に据え,全方位景観提示による鑑賞ナビゲーション体験により個々の鑑賞者が質の高い知識獲得のできる環境を大地の芸術祭を事例として構築し,検証する.昨年度の研究により,解説を提示するタイミング(なし,上映前・上映中)に依存して鑑賞時の視行動が変化し,それが印象形成に影響することが示唆された.今年度は,解説に関する知識の有無・解説提示時の視行動の特徴・記憶/満足度の関係を解明するための視行動計測実験を行なった.映像は,静止している景色の中を移動して鑑賞する映像(隅田川クルーズ),動きのある景色を静止して鑑賞する映像(水族館),静止している景色の中で静止して鑑賞する映像(大地の芸術祭作品「リバース・シティ」)であった.21人の被験者の鑑賞行動中の視線をTobii Glassにより記録した.上映は,和歌山大学観光デジタルドームシアターにて行なった.得られた視行動データを分析し他ところ,パスィートで見ていた対象はサッカード後の注視で捉えていた対象よりも短い鑑賞時間で記憶に残る,解説対象をオプティカルフローに沿わないパスィートはオプティカルフローに沿うパスィートに比べて鑑賞時間も長く記憶にも残る, 聴覚情報の中で繰り返される要素・意外性のある要素は記憶に残りやすい,個人特性として鑑賞内容に関する知識を持たない鑑賞者は知識を持つ鑑賞者に比べて聴覚情報の解説対象を見る時間が短いことがわかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,鑑賞行動特性の解明を行うことが目標であった.そして,具体的な目標としては,能動的な景観鑑賞行動の再現を可能とするような,景観鑑賞行動タイプ毎に効果的に記憶レゾナンスを生じさせる疑似体験用コンテンツの要件を特定するということを掲げた.「能動的な景観鑑賞行動」が視行動にどのように現れるのかを見いだすことが重要であったが,その研究は,記憶レゾナンスが生じて記憶された事柄と照合しながら,探索的に行った.その結果,対象をパスィートで見るかどうかが,能動的行動と受動的行動を分けるのに有効であるという示唆を得た.研究遂行上,探索的に行わざるを得ない部分ではあったが,次年度に向けての方向づけができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更はない.また,研究を推進する上での問題もない.
|
Research Products
(3 results)