2015 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Research on the Preservation of Library Collections
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15H02786
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 浩之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (70334224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 修一 立教大学, 文学部, 特任教授 (50134218)
佐野 千絵 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, センター長 (40215885)
安形 麻理 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (70433729)
矢野 正隆 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 助教 (80447375)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 資料保存 / 保存環境 / 質問紙調査 / 聞き取り調査 / 資料保存活動史 / 図書館員教育 / プリザべーション / コンサベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、研究上の必要から計画を変更し、まず首都圏の資料保存に実績を有する図書館等(東京都立中央図書館、国文学研究資料館、立川歴史民俗資料館、国立国会図書館)について設備・環境の実見と担当者からの聞き取りを行った(訪問実態調査)。 さらに、平成28年12月まで計画を延長し、首都圏以外の図書館(金沢市立玉川図書館近世史料館、東北大学附属図書館、和歌山大学附属図書館、京都大学附属図書館)にて訪問実態調査を実施した。また平成28年は、現在の資料保存の基盤形成の契機となった「フィレンツェの水害」から50年の節目であり、情報と資料収集のため1名をイタリアに派遣した。 これらから得られた情報を集約・分析するため、平成28年12月までの間に研究集会を5回、うち2回は公開シンポジウム形式として開催した(平成27年11月13日「マイクロフィルム等の図書館資料の媒体変換と情報共有」、平成28年11月10日「図書館におけるメディアの保存」)。いずれも図書館員など一般にも参加を呼びかけ、研究成果の社会還元に努めた。特に2回目の公開シンポジウムは、訪問実態調査の総括を兼ねたもので、総合討論では参加の図書館員から貴重な意見を仰ぐことができた。 また、平成28年2月19日には、京都大学東南アジア研究所主催の国際ワークショップ「東南アジア地域研究情報資源の共有をめざして:いま、ライブラリアンから伝えたいこと」に協力し、セッシヨン2「多様な媒体による共同保存・利用への途」を受け持ち、構成の考案のほか、司会やコメンテーターなどを担当し、本研究の成果の国際発信に努めた。 実態調査研究班と史的経緯研究班が中心となってメンバー全員が協力して、上記の諸活動を実施したほか、方法論研究班では米国の大学院の図書館情報学課程における資料保存教育や、図書館員が受講可能な国内の各種研修における資料保存の扱い方等について調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算の繰り越し制度を利用して初年度の研究期間を9ヶ月延長したが、この期間に収集した首都圏、地方、海外の図書館における資料保存に関する情報は、平成29年度実施予定の質問紙調査のために非常に重要な基礎データとなった。当初予定していた個別の人物に対する聞き取り調査は実施できなかったが、訪問調査によって各図書館等の担当者から情報を聞き取ることで、これに代わる成果があったと考えられる。また、研究期間に公開のミニシンポジウムを2回開催し、国際ワークショップにも協力の形で参加するなど、研究成果の社会還元という役割も果たすことができた。以上のことから、多少の計画変更はあったものの、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の訪問実態調査で得られたデータと、平成28年度の各種調査で得られたデータを分析し、質問紙調査の方法、対象範囲、さらには質問紙の設計について全体で議論する。訪問実態調査の結果からは、図書館において資料保存を一元的に担当する部門があることは非常に稀であり、様々な図書館の組織の中に細切れに資料保存の業務が埋没している実態が浮き彫りとなった。このため質問方法や質問範囲の設計を誤ると、期待するデータが得られないばかりか回収率も低くなると考えられ、対応策の検討を早期に進める必要がある。
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Research Products
(14 results)