2016 Fiscal Year Annual Research Report
南極沿岸域の炭素質エアロゾル:低中緯度域からの輸送とその起源
Project/Area Number |
15H02806
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
原 圭一郎 福岡大学, 理学部, 助教 (10390593)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 健悟 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40371744)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 南極 / エアロゾル / 起源 / 長距離輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
南極昭和基地で、Aethalometer、Multi-Angle Absorption Photometer (MAAP)を用いたBlack carbon(BC)濃度連続観測を順調に継続させている。昭和基地における炭素質エアロゾルサンプリングは、通年で実施することができた。2年目の炭素質エアロゾルサンプリングは、第58次南極地域観測越冬隊派遣の調整で、観測対応者の派遣(依頼)ができなくなったため、2017年1月で一時中止とした。現地に持ち込んだサンプラー1式、採取された試料は冷凍状態で日本へ発送する処置とした。 砕氷艦しらせ航路上(オーストラリア~昭和基地の往復)でのBC観測を行うため、観測隊のしらせ訓練航海に乗船し、エサロメータ他のエアロゾル機器の搭載・設置と観測保守を研究協力者へ訓練・申し送りをした。12月上旬にオーストラリア・フリーマントル出航後、エアロゾル観測を開始し、3月中旬にシドニーに帰港するまで観測を実施した(ただし、昭和基地周辺の氷海航行時と停泊時には、観測は一時中断させた)。 2005年以降にエサロメータを用いて南極昭和基地で観測されたBCデータ及び、2010年以降に砕氷艦・しらせ船上で観測されたBCデータの解析を進め、モデルによるBC再現実験データとの比較も始めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
南極昭和基地での炭素質エアロゾル観測に関しては、当初の予定通りに、順調に進んでいる。砕氷艦しらせ航路上のエアロゾル観測に関しても、大きなトラブルもなく、観測を実施することができた。BCデータについては、気象データが入手されている期間については、一次処理を終え、順調に解析が進められている。BCの観測値との比較により、CHASERモデルの再現実験の条件調整を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
①現在南極で実施している炭素質エアロゾルの連続観測の維持:観測維持のために、南極地域観測隊への保守作業の委託依頼、越冬隊員(研究協力者)へ作業依頼・訓練を行っていく。 ②隊員の調整により、一時中断した炭素質エアロゾルのサンプリングの再開:次年度に南極に入る観測隊によりサンプリングを再開できるように調整し、サンプラー1式及び、サンプリングに使用するフィルターの前処理を進め、観測隊員にサンプリング保守の訓練を行う。 ③これまでに解析されたBC濃度と空気塊の履歴の関係の比較(トラジェクトリー解析・気象データ解析):空気塊との比較のため、解析対象となる期間の後方流跡線解析を実施し、BC濃度別に空気塊の履歴・気象場の対応を比較していく。 ④モデルとの比較をさらに進め、BCの発生源寄与と輸送過程について考察:南極へ輸送されるBCの発生源・地域と輸送経路を考察するため、モデルによる解析を進め、③の空気塊の履歴との関係と併せて比較を進めていく。 ⑤エアロゾル使用の分析:通年で実施したサンプリングで得られた試料のOC/EC分析を進める。
|
Research Products
(2 results)