2015 Fiscal Year Annual Research Report
藍藻産生毒素分解菌の分子育種株を用いた新規水環境修復技術の開発
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15H02840
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
清水 和哉 東洋大学, 生命科学部, 講師 (10581613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 則夫 筑波大学, 学内共同利用施設等, 特命教授 (10302374)
内海 真生 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60323250)
間世田 英明 徳島大学, 大学院ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10372343)
原 啓文 長岡技術科学大学, 学内共同利用施設等, 客員研究員 (80511071)
岡野 邦宏 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30455927)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 汚染質除去 / 生物膜法 / 淡水資源 / 藍藻類産生有毒物質 / 浄水処理技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、当初計画の通り、microcystin分解菌Sphingopyxis sp. C-1の全ゲノム解析を完了し、原著論文として発表した。ゲノム情報は、microcystin分解酵素遺伝子の転写制御因子の同定や分子育種株の創出に資する情報である。また、microcystin初発分解酵素遺伝子mlrA欠損株に加えて、mlrB欠損株、mlrC欠損株を特異的遺伝子破壊法を用いて創出した。それら遺伝子欠損株を用いて、microcystin分解菌内におけるmicrocystin分解経路を同定し、MlrA酵素やMlrB酵素、MlrC酵素の細胞内局在について推測できる結果も得ることができた。さらに、microcystin分解菌のmicrocystin分解活性を上昇させるために、microcystin分解酵素遺伝子を挿入した分子育種株を創出しつつある。加えて、保有している有毒藍藻類捕食原生動物の18S rRNA遺伝子塩基配列を解読するとともにその共存細菌群集構造を明らかにした。共存細菌には、microcystin分解菌の報告例が多いSphingomonas属が含まれていた。同培養サンプルから得た全DNAを鋳型としたPCR法による検出においてmlrA遺伝子を検出できなかったものの、単離した共存細菌から、microcystin分解菌がいることを明らかにした。水域において、捕食微小動物・原生動物と分解菌が密接に関係していることが考えられた。 有毒藍藻類捕食原生動物とセラミック担体を用いた有毒藍藻類およびmicrocystin除去を目的とした水処理装置を構築し、セラミック担体が藍藻類およびmicrocystinの効果的な除去に活用できることを見いだした。さらに、原生動物の回分培養においてセラミック担体を添加することにより、安定な培養に資するという知見も得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度当初に計画した研究計画をほぼ完了することができた。原著論文を1報掲載するとともに、掲載に向けて審査中の原著論文が1報ある。加えて、研究申請時において、平成28年度に実施予定であった一部の研究を平成27年度中に開始することができた。以上から、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に構築した分子育種の実験系を用いて、microcystin分解菌のmicrocystin分解活性を上昇させた分子育種株を創出する。これまでmicrocystin初発分解酵素のmicrocystinアナログに対する分解特性を明らかにし、microcystin初発分解酵素遺伝子がバイオマーカーとして用いられることを提案する。 平成28年度から有毒藍藻類捕食微小動物と共存/共生細菌を用い、分子生物学的知見を基盤として新規水環境修復技術を適用した水処理装置の構築を開始する。
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Research Products
(5 results)