2016 Fiscal Year Annual Research Report
場の制御によるケミカルフリーな微粒子分離技術の体系化と高度分離プロセスへの応用
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15H02849
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 教授 (20345929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤根 大士 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00583709)
椿 淳一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (50109295)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 粒子凝集 / クロスフロー濾過 |
Outline of Annual Research Achievements |
電場を利用したケミカルフリー粒子凝集技術について、液中での微粒子の凝集メカニズムが粒子周りに形成されている電気二重層の変形であることを明らかにした。様々な材質の粒子でスラリーを調製し、電場による粒子凝集実験を行った結果、スラリーのpHが等電点付近の場合が最も粒子凝集効率が低く、pHが等電点から外れ粒子が帯電しはじめると凝集効率が高くなることが分かった。さらに溶媒を水から食用油に変えてスラリーを調製し、電圧を印加したところ、ほとんど凝集効果が見られなかった。以上のことから、本現象には粒子の帯電、すなわち粒子周りに形成される電気二重層の状態が強く影響を及ぼしていることが明らかとなった。 旋回流濾過技術については食品系廃棄物スラリーの濃縮実験を実施した。食品系廃棄物スラリーでは、粒子サイズは比較的大きいが濾過膜への付着が著しいため、通常の濾過操作ではごく短時間で濾過ができないほど濾過抵抗が増大してしまうが、旋回流濾過では長時間、ほぼ一定の濾過速度で濾過することができた。旋回流濾過では強い剪断力が発生するため、柔らかい粒子は剪断によって破壊され、系外に漏れる可能性が懸念されたが、濾過初期段階から一貫して濾液は高い透明性を維持しており、剪断・破壊による粒子漏れは起こっていないことが確認された。また粒子の種類によって外部に漏れ出す粒子径が変化することを明らかにした。本濾過技術を支配する要因として粒子の慣性力が重要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電場による凝集技術について、本現象のメカニズムを概ね解明できた。これによって、今後どのように本プロセスを制御していくか、その指針を検討するための方向性を見出すことができた。当初予定していた混合物の電場による選択分離については十分に実験できてはいないが、逆に、当初予定していなかった本現象のメカニズム解明が実現できたため、粒子の種類によってどのように電場による凝集効果が変化するかを予測することができるようになったため、当初計画以上に、選択分離の方向性が明確になっている。 また旋回流濾過についても系外に排出される粒子は粒子の密度とサイズで決定され、分離限界粒子径が変化していくことを見出したため、分級可能な範囲を決定することが可能となった。 以上のことから当初予定していた研究成果と同等の結果が得られていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
電場による粒子凝集及び旋回流濾過ともにスケールアップのための指針を明らかにすることを目的とする。 電場による粒子凝集では連続処理によるスケールアップを検討する。流通式誘電分極処理槽及びマルチ電極処理槽を用いて、連続処理実験を行い、スケールアップの可能性、及び高度な分離(選択凝集・分離)に関しても連続処理可能かを検証する。 旋回流濾過ではフィルターを複数にすることでスケールアップを検討する。それぞれのフィルターは独立で、相互作用はないことが特徴であるので、これまでの単本管の試験結果を用いて、シミュレーションにより、処理量に対する装置構成を求める。
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Research Products
(4 results)