2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H02860
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
醍醐 市朗 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20396774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 英男 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部, 研究員 (10385536)
畑山 博樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (30612733)
葛原 俊介 仙台高等専門学校, 専攻科, 准教授 (60604494)
山末 英嗣 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (90324673)
中島 謙一 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (90400457)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 合金成分 / 不純物 / 物質循環 / 金属リサイクル / 鉄スクラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄鋼材の中でも不純物許容濃度の高い棒鋼を試料として採取した。採取国の生産やリサイクル状況ならびに入手可能性の観点から、試料採取国を選定した。そのうち、日本、ベトナム、ウクライナ、オランダからの試料を採取した。不純物濃度を分析した結果から、100個以上の試料があれば、評価に際して十分に小さな不確実性となることが分かった。 ベトナムにて協力を得た電気炉では、日本や北米から鉄スクラップを輸入したのち、非鉄金属等を手選別したものを原料としていた。日本とベトナムの試料中の不純物成分の差が、鉄スクラップに混在する分離されなかった他の素材由来であると定量できた。 鉄鋼随伴元素のSFAならびにその散逸に関する挙動を、WIO (waste input output)-MFA (material flow analysis)を用いることで各フロー間の整合性を担保しつつ、UPIOM (the unit physical input-output by materials)を用いることで製品を構成する部品別に区分された製品の組成情報を得た。動的MFAを用い、廃棄された各製品量と、各製品の平均的なリサイクル過程における部品分離、素材回収ならびに散逸フローの既存の調査結果から、鉄スクラップ中に混入する各元素量を定量する手法を開発した。日本を対象に分析した結果、2011年に消費された鉄スクラップに混在する他素材由来の不純物元素の60%から80%程度の混入起源が説明された。 素材蓄積量が飽和することが経験的に分かっていることから、その時点までで蓄積されてきた社会中の金属素材を持続的に循環利用する将来的な金属利用システムを評価対象とし、新たに投入する天然資源の最小化を目的関数とする最適化モデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、主に3つのパートから構成される。1つ目の「不純物合金元素の現状の把握」については、鉄鋼随伴元素のSFA、各国からの試料採取と分析、スクラップ回収・リサイクルのモデル化について、手法の確立の面では計画以上の成果を挙げた一方、限られた対象元素や対象国への分析にとどまったため、ほぼ計画通りの進捗であった。 2つ目の「サブモデル」については、使用済み製品の排出サブモデル、使用済み製品の回収サブモデル、解体分離サブモデル、製鋼時の分配サブモデルについて、計画とは異なったサブモデルでの進捗ではあったものの、計画以上に進捗した。 3つ目の「循環システムにおける最適化」については、計画とは異なる面であるものの、最適化モデルが構築でき、計画以上に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1-1 データ制約から日本における分析を先行してきた合金成分のSFA では、日本以外の国における分析を進める。また、SFA対象元素の拡充(データ整備)においては、組成分析から得られた結果から各国の違いを説明する可能性の高い元素について、優先的に実施する。 1-2 スクラップ中の合金成分の濃度分布も含めた分析では、試料の採取国を拡充(中国、英国、米国、豪州)し、現地での試料の採取ならびに分析を引き続き実施する。また、従来の分析技術では検出できない極微量元素分析手法を確立し、実施する。 2-1 意図的添加の合金成分ならびにトランプエレメントの挙動サブモデルでは、経済の発展とともにリサイクルシステムが異なることをパラメトリックに理解することと、同じ先進国間、途上国間であってもリサイクルシステムが異なることをパラメトリックに理解することの2つを実施する。 3-1 持続可能な循環利用システムでは、時間に応じた変動に対しても安定的であることが望まれる。1つの変動要因である価格の変動に対するシステムにおける影響も、サブモデルの中でパラメトリックに考慮することで、時間軸を包含し、システムの安定性も考慮した発展的評価手法を構築する。 3-2 循環利用システムの最適化では、定常的循環利用に対する最適化では、老廃スクラップの配合や、老廃スクラップに混入する不純物量、生産鋼材の不純物許容濃度などのパラメータは、目的関数となる新規投入される天然資源量に対して線形の関係にあるため、線形問題として最適化できる。合金成分値を社会全体での平均値で議論せずに濃度分布を持つことを想定するならば、生産時の規格値外れヒート率を設定する等の工夫により、線形問題に変換した最適化モデルを構築する。
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Research Products
(32 results)