2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報で個人に最適化された活動によるデイケア利用者の意欲とQOLの向上
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15H02883
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大島 千佳 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (10395147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 修 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20357891)
中山 功一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50418498)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 趣味活動 / 個人化 / ピアノ / ハーフミラー / 模範演奏 / 色塗り / ベテラン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,デイケア施設などで,高齢者が自分に最適な活動を提供されることで,生きがいをもつことを目的とする.本年度は,重度認知症者を対象としたデイケアでの作業療法において,ベテランのスタッフが,各利用者の色塗りの作業に寄り添いながら,認知・身体機能,意欲,達成感などを判断する過程を分析した.その結果をもとに,スタッフのためのチェックシートを作成し,新人のスタッフに使ってもらった.その結果,新人スタッフは,各チェック項目がなぜ必要であるか,理解しきれていないため,チェックシートを使っても,認知・身体機能の判断につながらなかった.ここから,ベテランスタッフの「知」の伝達は段階的である必要があることがわかった. また,鍵盤楽器の経験がない高齢者でも,ピアノの練習に取り組みやすく,練習が継続することを目的とした練習方法を提案した.ハーフミラーを使うことで,ユーザは自分の手を,鍵盤上に映し出された模範演奏の映像の手にかぶせながら弾くことができる.課題曲は,両手で1つのメロディを弾く.まず10名の大学生に試してもらったところ,全く演奏経験がない学生でも,1回目ですべて正しく演奏することができた.10回弾いたあとでは,模範演奏の映像がなくても弾けるようになった学生がいた.次に,演奏経験のない高齢者10名に試してもらった.10分間練習してもらったところ,半数以上の高齢者はだいたい弾けるになったが,模範演奏を映さなくても弾ける人はいなかった.練習しても弾けるようにならなかった高齢者の中には,もともと手の震えがある人や,打鍵が1音程度遅れてしまう人がいた.模範演奏の映像がもっと遅ければ,練習できた可能性がある.ここから,各高齢者の状態に合わせて,練習方法を個人化する方法を提案する必要があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハーフミラーを使ったピアノ練習方法は,当初予定していたシステム以上に有用な方法を提案することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
各利用者に適切な作業を提供しているデイケアの結果をもとに,一律な作業を提供しているデイケアのスタッフでも,各利用者に個人化した作業を提供できるようになる方法を,実際に,新たなデイケアで試行しながら提案していく. ピアノの練習方法は,ユーザの状態に合わせて提示する模範演奏を変更する手法を構築する.
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Research Products
(8 results)