2015 Fiscal Year Annual Research Report
生物的、物理的手法による良食味で難消化性の加工米飯の開発及び機能発現機構の解明
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15H02891
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大坪 研一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80353960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三ツ井 敏明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70183960)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食品 / 農林水産物 / 栄養学 / 植物 / 米 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動物飼育試験を代替する米飯の理化学的難消化性評価技術の開発、米飯物性測定や呈味成分の測定などの食味の物理化学的評価技術を組み合わせ、良食味を維持しながら、難消化性の機能を有する米飯を開発し、その機能発現機構を解明する。27年度は、(1)超高圧加工による機能性成分の増強、(2)食味の微量評価方法の開発、(3)アミラーゼインヒビターの探索、(4)高温耐性稲変異系統の評価に関する研究を行った。(1)においては、200MPa以上の高圧処理によって米粒組織が損傷を受け、米飯物性が軟化するとともに、GABAや遊離アミノ酸の増加することを見いだし、(2)においては、大坪研究室で開発した「ヨード比色走査分析法」と「RVA分析法」をさらに改良し、アミロースに加えてアミロペクチン画分や難消化性澱粉の推定精度を向上させ、外国産ジャポニカを含む広範な試料にも適用可能とした。(3)においては、脱脂米糠からイオン交換、ゲル濾過等によってアミラーゼインヒビターの精製を行い、黒米の阻害活性の強いことを見いだすとともに、オオバやバジル等のハーブ類に強いアミラーゼ阻害活性のあることを見いだした。(4)においては、三ツ井研究室の高温耐性変異系統を対象に、成分分析、糊化特性試験、米飯物性測定およびヨード呈色走査分析を行い、高温耐性の新系統は、コシヒカリに近い良好な食味を示すことを明らかにした。さらに、海藻由来のイゴノリで米飯を被覆することによって、食味を良好に保ちながら難消化性を実現する技術に取り組み、少量試験ではあるものの、米飯表層は硬くて難消化性を確保しながら、米飯粒全体は粘りが強くて食味も良好に保たれるということを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、良食味を保持しながら機能性(難消化性)をも有する加工米飯の開発に向けて、超高圧の利用、微量試料による食味評価手法の開発と適用、アミラーゼインヒビターの探索と精製、新規育成変異米の食味評価という4項目ともに順調に進展し、有望な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、前年度の成果をさらに発展させ、良食味の機能性米飯の開発に向けて研究を加速させる予定である。具体的には、27年度に検討した、米糠アミラーゼインヒビター、ハーブアミラーゼインヒビター、海藻抽出物のうちから有望な物を選定して米に添加し、難消化性を保持しながら食味の良好な米飯を試作する。さらに、これらの過程で、米及び副原料に対する超高圧処理の影響を精査し、適正加圧条件の選定に取り組む。高温耐性稲についても、固定が進んで栽培条件の確立された試料米を中心に、食味評価と機能性評価を行う。アミラーゼインヒビターのアレルゲン性を検討するため、プロテアーゼによる消化性についても研究を行う。
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Research Products
(3 results)