2016 Fiscal Year Annual Research Report
小腸上皮多糖受容体を介した自然免疫修飾を利用した健康増強に資する高機能性食品開発
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15H02897
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 雅史 神戸大学, 農学研究科, 教授 (00212233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 康仁 神戸大学, 農学研究科, 教授 (60263399)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レンチナン / 抗炎症作用 / 炎症性腸疾患 / Dectin-1 / 腫瘍壊死因子受容体1 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究室では、レンチナンが抗炎症効果を示すこと、および腸上皮細胞に発現しているDectin-1受容体によって認識されることを明らかにした。また、この腸管炎症抑制の機構としては、腸上皮細胞基底膜側に発現しているTNF-α受容体であるTNFR1の発現量が減少し、それに伴いNF-κBの核内移行が抑制され、IL-8の産生量が減少することが明らかになっている。そこで本研究では、レンチナンが誘導する腸上皮細胞におけるTNFR1の細胞膜発現調節機構を可視化することで検証した。TNFR1とGFPの融合タンパク質をCaco-2細胞に発現させ、レンチナンを添加し6時間反応させた後に、抗TNFR1抗体で細胞膜上に発現するTNFR1を蛍光免疫染色後、共焦点レーザー顕微鏡(CLFM)を用いて観察し細胞膜上のTNFR1の発現変化を評価した。また細胞膜上に発現・消失する1分子TNFR1の動きを、全反射照明蛍光顕微鏡(TIRF)を用いて観察した。レンチナン処理1時間後から観察を開始し、増減数をカウントすることにより細胞膜上のTNFR1の減少率を算出した。CLFMでの観察により、TNFR1とGFPの融合タンパク質ではCaco-2細胞の細胞膜上には発現しないが、内部ドメインを除去したTNFR1とGFPの融合タンパク質は細胞膜上に発現するようになること、またその内部ドメイン除去TNFR1-GFP融合タンパク質の細胞膜での発現量が、レンチナン処理により有意に低下することが明らかになった。さらに、TIRFでの観察により、レンチナン処理によって細胞膜上に発現してくるTNFR1数が減少したのに対して、消失していく数は大きく変化しなかったことから、レンチナンによる細胞膜に存在するTNFR1量の減少は、TNFR1の細胞膜への輸送が抑制されるためであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今まで予想していた抗炎症性の機構の内、レンチナン処理による腸管上皮におけるTNFR1の消失がエンドサイトーシスによるものではなく、レンチナン処理によって細胞膜上に発現してくるTNFR1数が減少したのに対して、消失していく数は大きく変化しなかったことから、レンチナンによる細胞膜に存在するTNFR1量の減少は、TNFR1の細胞膜への輸送が抑制されるためであることを明らかにすることができた。このことは、今までの報告にはない新しい現象である事から、当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回までの研究成果はレンチナン処理によるTNFR1消失に関してのみの結果であるが、今後はレンチナン受容体であるDectin-1を本当に介しているのかを中和抗体を用いた実験で、また既に報告している結果との相違がなぜ生じているのかをエンドサイトーシス特にクラスリン依存型エンドサイトーシス阻害剤を用いる実験で明らかにすることで、レンチナンによる炎症性腸疾患の改善効果を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(2 results)