2015 Fiscal Year Annual Research Report
経験帰納的学習の提案・構築と自然現象の抽出による検証
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15H02908
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
内山 哲治 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10323784)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経験帰納的学習 / 課題解決型学習 / アクティブラーニング / 暗黙知 / 明晰知 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 理論・実践として,本研究の経験帰納的学習がこれまでに提唱・実施されてきている学習形態にどう位置づけされるか,さらに,より成果主義的である一般企業で行われている企業内教育との比較検討を行った。ここで,比較の指標として,能動的-受動的,内発的動機づけ-外発的動機づけ,指導者主導-学習者主導,の3つの軸で検討した。その結果,課題解決型学習やOJT(On-the-Job Training)は能動的・内発的動機づけ・学習者主導,座学やOff-JT(Off-the-Job Training)は受動的・外発的動機づけ・指導者主導に分類され,経験帰納的学習はこれらと異なる能動的・外発的動機づけ・指導者主導に分類されることが分かった。そして,経験帰納的学習から文科省の進めている課題解決型学習に展開するにあたって「宿題作戦」と名付けた手法を仙台南高等学校で実践した。さらに,科学史や日本理科教育史にもあたったところ,経験帰納的学習はアリストテレスなど先史来の自然(日常生活)に対する興味・関心に基づき,学習者の経験に注意を向けさせることによって,無意識を意識化することに長けていることが改めて確認された。 2 自然現象の抽出に関しては,購入した放射温度計を用いて熱という可視化しづらいパラメータを視覚化して行った。H27年度は,特に物質の状態変化を調べ,その応用として酸化物超伝導体の急速作製法を実現した。ろうそくの炎など実体のないものの撮影は困難であったが,今後工夫出来ればと考えている。 3 教材製作に関しては,研究協力者である現職教員から現場の声を聞き,等加速度直線運動,衝突運動,状態変化などのビジュアル型シミュレーションを作成した。今後,ホームページでオープンにすると共に,本学が行っている地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)の宮教大クラウドに上げ,教育現場に還元する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1 理論・実践では,まず理論として,経験帰納的学習の位置付けを調べるにあたり,学校教育におけるこれまでの学習形態だけではなく,企業内教育とも比較した結果,学習というものに対して位置付けをより明確にすることが出来たと考えている。さらにここで得た知見として,企業内教育における動機づけ理論を学校教育に活かすべく,経験帰納的学習に取り込み展開する方針を見出せた。実践では,研究協力者である現職教員は現場の意向もあり,実践はなかなか難しかったが,研究室の大学院生が非常勤講師として実践した。ここでは大学院生が現場に立つことによって,必要な教材を考え開発する場として活用出来た。 2 自然現象の抽出に関しては,放射温度計の新製品販売があり入手が少し遅れたが,広い温度範囲で容易に熱が可視化出来るようになった。H27年度は,試用も兼ねて物質の溶融など状態変化を中心に自然現象の抽出を行い,酸化物超伝導体の急速作製法を実現したのは教材開発としても大きな成果であった。今後は,運動系においても活用し,自然現象の中で起こるアナロジーを見つけるツールとして展開したいと考えている。 3 教材製作に関しては,非常に多くのビジュアル型シミュレーションを作成した。完成版と言えるものが数点しかないが,教育現場に還元するべく現職教員に使用していただき,更なる修正および経験帰納的学習での使用の方向に持って行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1 理論班:経験帰納的学習の授業への導入方法を検討する。ここで,われわれは,ビジネスモデルとの比較が有効であったため,マズローのモチベーション理論以外に従来の教育心理の枠組みにはあまり出てこないハーズバーグのモチベーション理論を展開したいと考えている。 2 自然現象抽出班:H27年同様,本学習形態の核となる日常生活で無意識のうちに認識している事象(学習課題)を挙げて検討していく。H28年度は当該研究室の卒業生・修了生を中心とした高等学校教員から,高等学校の現状の躓き課題を挙げもらうが,特に,フレッシュな学部学生を取り込み,研究室内を中心に検討したい。自然現象としては,熱をパラメータとして,視点を変えた新しい世界を見るところにフォーカスしたい。 3 教材製作班:自然現象抽出班と重なるところが多いにあるが,教育現場で指導困難な課題に対して,3Dプリンタなどを用いて自作の教材製作を行う。また,ここでは現職教員よりも,当該研究室の大学院生・学部生を中心に思考錯誤することによって,学生の考える力の育成も図りたい。 4 実践班:われわれが展開している経験帰納的学習を実践したいと考えているが,H27年度,現職教員による実践は現場の事情等が大きく作用し,難しかった。そこで,H28年度は,福島県立ふたば未来学園高等学校の對馬先生(安達高等学校から異動)の協力を得て,被災からの復興に協力した形で,経験帰納的学習法の展開を検討している。また,研究代表者が仙台市確かな学力研修委員会のメンバ-でもあるので,小中学校の教員と授業・教材を検討するにあたって,経験帰納的学習を利用したいと考えている。さらに,H28年度から研究代表者が仙台第三高等学校と始めた小中高大接続縦貫型授業モデル【知的立ち直り開発プログラム】においても,実験授業作成において経験帰納的学習法の展開を行う予定である。
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Research Products
(9 results)