2015 Fiscal Year Annual Research Report
事例間比較研究によるリスクコミュニケーション論の再構築
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15H02942
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣野 喜幸 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90302819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤垣 裕子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50222261)
森 修一 国立感染症研究所, 感染制御部, 室長 (40559522)
花岡 龍毅 常磐大学, 国際学部, 准教授 (70362530)
定松 淳 東京大学, 教養学部, 特任講師 (00723876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リスクコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、文献資料の調査、講演会の開催、インタビュー調査、現地調査の四点を中心として、研究を推進した。第一の文献調査については、放射線問題リスク・コミュニケーションについては行政や学界の動向、マスコミ報道などを詳細に分析した著作を中心に収集した。医薬品の副作用問題リスク・コミュニケーションについては、薬剤師の活動や薬学教育に関連した著作を多く入手し、薬学の専門家の間ではまずどのようなリスク・マネジメントならびにリスク・コミュニケーションが行われているかを分析した。 続く講演会については、三回開催し、そのうち二回は医薬品の副作用リスク問題をテーマとして、毒性学や薬学の観点から、現状の医薬品の副作用に関する問題点や薬局の在り方とリスク・コミュニケーションの関係等について議論した。もう一回はゲノム編集技術の現状についてご講演いただき、今後こうした技術をどのように社会が受容していくかについて科学技術社会論の観点から討議した。 第三のインタビュー調査については、2016年3月に二回に分けて実施し、薬剤師へのインタビューによって、薬剤師の観点からの行政、医師、患者等とのリスク・コミュニケーションのあり方を調査することができた。 最後の現地調査については、とりわけ放射線問題リスク・コミュニケーションに関連して、福島県や東海村で調査を行い、文献資料では得ることのできなかった、放射線問題リスク・コミュニケーションの現状に関する知識を獲得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
講演会、インタビュー調査の実施等により、文献資料から得ることのできなかったリスク・コミュニケーションに関する知見を得ることができた。文献資料調査に関しても、医薬品の副作用問題リスク・コミュニケーション研究、放射線問題リスク・コミュニケーション研究、生物兵器・化学兵器問題リスク・コミュニケーション研究においては順調に進んでいるが、とくに食品リスク問題のリスク・コミュニケーションなどについては収集が途上段階にある。次年度はこうした問題の資料収集にも重点を置き、研究のさらなる推進をはかる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず医薬品の副作用問題リスク・コミュニケーションに関して、日本毒性学会でシンポジウムを開催し、毒性学、薬学といった他分野の専門家との議論を通して、新たな知見を獲得することを目標とする。また文献調査については、すでに昨年度の調査で多くの資料を得ているが、今年度は行政や学会のリスク・コミュニケーション活動を具体的に知るための一次資料の収集にとくに力点を置く。さらに講演会の開催や現地調査を通じて、多分野の専門家と交流して意見を聴取し、各分野でのリスク・コミュニケーション活動の現状の考察に努めていきたい。
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Research Products
(2 results)