2015 Fiscal Year Annual Research Report
縄文中期末の「人口激減」に関する同位体地球化学と形質人類学による総合的研究
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15H02946
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 修 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40244347)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 安定同位体 / 古環境 / 古食性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、千葉県千葉市加曽利北貝塚ならびに南貝塚から出土した、イノシシならびにシカから骨サンプルを採取し、残存するタンパク質(コラーゲン)において炭素・窒素同位体比を測定した。また、歯エナメル質からはストロンチウム同位体比と酸素同位体比を分析するための試料を採取して、前処理を実施した。あわせて、加曽利北貝塚のハマグリを採取して、貝殻成長線の観察結果を参照しながら、酸素同位体比分析のための試料を採取した。 シカとイノシシと炭素・炭素同位体比では北貝塚と南貝塚で有意な差が検出されなかった。このことから、縄文時代中期から後期にかけて植生や生息環境(森林に被覆率など)が大きく変化していないことが示唆された。来年度は、同一個体について、エナメル質の酸素同位体比とストロンチウム同位体比を分析して、前者については降水中の酸素同位体比の変化から気温とモンスーン活動の影響、後者からは動物の行動範囲あるいは縄文時代人の狩猟活動域の時代変化を検証する。また、シカとイノシシの酸素同位体比の変動が降水中の酸素同位体比の相関を有するかどうかについての基礎データを得る為に、現生のシカとイノシシでも分析を実施する予定である。 古人骨資料については、性別と年齢、古病理所見などの個体情報と炭素・窒素同位体ならびに放射性炭素年代が完全に対応できるように、基礎的な整理をすすめた。来年度にサンプリングして分析が可能な状況となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進展している。試料については、すでにほぼサンプリングを完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従って、今年度は加曽利北貝塚と加曽利南貝塚で、シカとイノシシのエナメル質の酸素同位体比とストロンチウム同位体比を測定して、降水中同位体と捕獲・移動範囲の時代変遷を検討する。あわせて、加曽利貝塚人骨の炭素・窒素同位体比分析と放射性炭素年代測定を行い、縄文時代人の食生活に時代変化があったかどうかを検討する計画である。
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Research Products
(3 results)