2016 Fiscal Year Annual Research Report
Geographical study toward enhancing ability of hazard maps for forecasting disaster and providing emergency information
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15H02959
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 康弘 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (70222065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 純子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90275967)
須貝 俊彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90251321)
中埜 貴元 国土地理院(地理地殻活動研究センター), 地理地殻活動研究センター, 研究官 (60511962)
小荒井 衛 茨城大学, 理学部, 教授 (50419876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 活断層 / 地震被害 / 火山災害 / 情報伝達 / 土砂災害 / 水害 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)現状のハザードマップの体系的整理として、①2015年常総水害の事例から「自然堤防」等の地形学用語が正しく使われていないことに注目し、防災上の問題点を明らかにした。久保が中心となり「防災における地形用語の重要性」をweb掲載し、雑誌地理にも投稿した(掲載は2017年10月)。2014年広島土砂災害、2016年岩手県小本川洪水についても調査した。②2016年4月の熊本地震発生後、地震断層調査を調査し、活断層の事前認定の問題点を考察した。③液状化に関しては、表示項目や種別を集計・類型化し、表示内容や種類の問題点を検討した。表層地質や浅部地下構造の考慮の重要性を指摘した。 (2)災害予測地図の高度化として、①熊本地震における地震断層と被害の関係を検討した。益城町市街地および南阿蘇村を集中的に調査し、活断層図改訂を行った。②火山については現状のハザードマップが1000年スケールの噴火までしか想定していない問題点を指摘し、10万年スケールまで拡張できるよう、火山地質図や文献から噴出物の分布をGISデータ化した。 (3)防災地図および避難情報伝達機能の高度化として、名古屋市などの防災行政担当者および防災アプリ開発業者と研究会を実施。防災地図としてのハザードマップおよび避難情報伝達の問題点、避難指示を全域対象に発出せざるをえない背景を明らかにした。問題の解消に向け、地区限定型の防災情報発信の可能性と、防災行政担当者に役立つ3Dハザードマップを試作した。 (4)防災地理教育への展開としては、2022年から「地理総合」が必履修化され、防災教育が展開される際の課題を整理した(学術会議から提言案を発出)。防災教材として「わかる!取り組む!災害と防災」全5巻(古今書院)の企画に協力・執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハザードマップを検討するにあたり、2016年4月熊本地震や、2016年8月岩手県小本川流域洪水等の突発的災害の現状調査とハザードマップとの関連性の検討が必要となった。いずれにおいても重要であるため、全国的・網羅的ハザードマップの分析よりもこうした災害分析を重視せざるを得なかった。また、気象庁や国交省に災害情報提供やハザードマップ作成に関する仕様変更があり、こうした動きを注視して調和を図る必要も生じた。また防災行政担当者とのtrans-disciplinaryな検討までを視野に入れているため、防災行政担当者の意向も考慮した。以上の理由により当初計画とはやや内容を変更せざるをえない部分があったが、災害発生や社会情勢の変化も踏まえつつ、多くの点において重要な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は最終年度として、(1)ハザードマップの体系的整理、(2)災害予測地図の高度化、(3) 防災地図および避難情報伝達機能の高度化、(4)防災地理教育への展開の内容を取り纏める。(1)および(2)については近年の災害の事例をさらに精査する。(3)については近年の防災行政施策の急速な変化も見極めて実施する。(4)については提言や書籍化を行う。
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