2016 Fiscal Year Annual Research Report
システミックリスクの下での金融リスク管理と公的資金配分に関する研究
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15H02965
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 輝好 北海道大学, 経済学研究科, 教授 (90360891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 利昌 北海道大学, 経済学研究科, 教授 (30324487)
西出 勝正 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40410683)
施 建明 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 教授 (70287465)
八木 恭子 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (80451847)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リスク管理 / ファイナンス / オペレーションズ・リサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
金融ネットワーク問題において未解決であった証券の売り持ち,代表例としてクレジットデフォルトスワップを銀行が保有する場合について,既存研究の拡張を行った.その結果,単純な負債のネットワークでは,コンプリートリンクは金融を安定させると言われていたが,CDSのネットワークでは,逆にシステミックリスクを顕在化させることを示した.また,CDSにおいては,発行(参照)のネットワークと保有のネットワークではリスクの顕在化現象が大きくことなることがわかった.国際会議で発表するとともに,暫定版をSSRNにアップロード済みである.また,より単純な2企業間でのネットワーク問題について,一つはクレジットリスクの計測に関する研究,もう一つは,2企業間に債務再交渉の可能性を考えた場合のリスク計測モデルを提唱した.2企業が負債を持ち合う場合,デフォルトの閾値が相互に影響しあうことを数値的に示した.その際,新たな数値計算方法を開発しており,問題の定式化およびアルゴリズムを示した.アルゴリズムの収束条件について,精査しており,2017年度中に投稿予定である.このアルゴリズムの理論的基礎が固まることにより,様々な応用が可能となる.例えば,企業のM&Aにおいて,競争相手がいるような買収の実施では,途中,図らずとも,株式のネットワークができる.このことによる株価への影響や,さらには最適戦略への影響,関連会社への子会社の売却などについて分析が可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
A.1 基礎研究についは,順調に進んでいる.また,A.2 金融ネットワークを考慮した利得モデルと信用リスクモデルの統合についても,基礎研究において示したモデルを動学化する検討を行い,アルゴリズムをおおよそ完成させている.一方で,B.1 システミックリスクを考慮したポートフォリオ選択問題,および,B.2 システミックリスクを考慮した金融リスク管理モデルの提案については,A.1およびA.2に多くのエフォートをさいたため,やや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでいる「A.1 基礎研究」の拡張,すなわちダイナミックモデルの開発を進めるとともに,その成果を利用して,「A.2 金融ネットワークを考慮した利得モデルと信用リスクモデルの統合」さらには,「B.1 システミックリスクを考慮したポートフォリオ選択問題」,「B.2 システミックリスクを考慮した金融リスク管理モデルの提案」へと進める.また,「C. システミックリスクの下での公的資金配分に関する研究」については,静的モデルの投稿準備,さらには,動的モデル下における研究を成果として提出する.これにあたっては,景気変動を考慮する予定で,そのために専門家である琉球大学・准教授を新たにメンバーに迎えた.
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Research Products
(11 results)