2015 Fiscal Year Annual Research Report
空間解析における新たな汎用的空間スケール表現の開発
Project/Area Number |
15H02967
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
貞広 幸雄 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (10240722)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 空間スケール / 点分布分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずは既存研究の再レビューを実施した.近年特に,モバイルデータ取得技術が急速に発達しており,それに関連した新しい空間スケール表現も徐々に見られるようになってきている.データ取得に関わる情報科学分野は申請者らの研究分野とはやや離れているため,雑誌論文だけでなく,梗概集なども精査し,研究の現状を再度,整理し,最新の研究動向を網羅するよう努めた.その結果,画像処理,空間統計,時系列統計分析などの分野で参考となる知見を得た. 次に,空間スケール表現としての平滑化を,点分布の可視化以外の空間解析手法に適用する可能性を検討し,解析結果を空間スケールの関数として表現する方法を開発した.平滑化による空間解析には,解析結果が広範な空間スケール成分の総和となるという特性がある.この特性が保持されるかどうかを確認しつつ,平滑化の各空間解析手法への拡張を行った.具体的には,点の集塊検出,点分布間の類似性評価,分布分類などについて,カーネル平滑化(カーネル関数は正規分布等複数)を用いて変換した点分布を分析し,その結果を空間スケールの関数として可視化している.格子法やK-関数法では,空間スケールは格子網や円領域などの空間集計単位によって表現されるため,これを平滑化に置き換えるには,元の点分布に平滑化を適用し,その結果について統計量の算出や検定などを行えば良い.但し平滑化を行うと,統計的検定にモンテカルロシミュレーションを要することから,比較的効率的な計算アルゴリズムを開発し,実データでの適用を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析手法の適用範囲を有限の空間スケール区間から無限のスケール区間へと拡張しようとしたところ,無限大スケールにおいて点分布間の類似性が常に0となってしまうという論理的な矛盾が生ずることが発覚した.これは、空間フィルタとしての空間的平滑化の作用を考えると通常は想定し得ない矛盾である.研究遂行上、この問題を解決する必要があることから,分析手法の再検討も含めた見直しに3ヶ月を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
理論枠組みの再構築と実データへの適用を繰り返すことで,より安定性の高い方法を開発する.
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Research Products
(7 results)