2018 Fiscal Year Annual Research Report
A simulation-based approach for the quantitative risk management
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15H02973
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 潤一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10293078)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 準モンテカルロ法 / 近似動的計画法 / 金融工学 / リスク管理 / リアルオプション |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に,ADPRL数値解法として,まずGLT methodのimportance samplingの応用可能性について検討した.加えて,Kai projectとして,Delta dimension reduction,severity control, tail dimensionの論文化を進めている. 第2にambiguityについての研究である.本研究ではその中でも特にambigiutyと言う概念を実用可能性の観点からの分析を行ってきている. 本年度発表した論文では,ambiguityのパラメータを明示的に推定する一つの方法を提案している.また,本研究の中で提案したambiguityを考慮した多次元格子モデルの下でのmaximin期待効用の適用方法と多数の原資産が存在する場合の簡便な最適戦略の分析方法は,ADPRLを構成する重要な数値計算手法と考えられる. さらに,今年度後半には,ambiguityの本質を理解するために,非加法的な確率分布の考え方の応用可能性についても検討を行った. 第3に,IBM Watson in IBM Cloudの導入可能性についても検討を行った. リアルオプションの分析を初めとするファイナンス研究において,特にデータ分析のためのソフトウェア活用は必要不可欠な手段である.本研究では,IBM Watsonのサービスの中から,知識探索系と呼ばれるWatson Knowledge Studio(WKS)とWatson Discovery Service(WDS)を利用したデモソフトを作成,検証に利用した.その成果については,日本リアルオプション学会において報告を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に,ADPRL数値解法については,海外の共同研究者との間で打ち合わせの調整が付かなかったことが原因で,当初本年度完成を目指した研究論文が継続となった.ただし,内容はほぼ完成に近づいているため,近い将来に投稿出来るレベルにあると考えている. 第2のambiguityに関しては,投稿した論文の査読プロセスでいくつか予想を超えた進展が得られた.その分修正に時間はかかっているが,当初予定していたよりも研究成果の水準が高まったと考えている.さらに,新たな研究打ち合わせを経て,理論経済学の観点からambiguityの意味を議論する機会を得ることができ,今後の研究の可能性が広がるという請うかもあった. 第3の非構造データの利用可能性については,研究が進行した結果その重要性と可能性に気づいたテーマであり,最初の研究計画時には見えていなかった,後に創発的に見つかった研究テーマである.その結果,本年後半に新しいプロジェクトを立ち上げることが可能となった. 以上をまとめると,本年度は当初の予定よりも最終的な成果(出版)がやや遅れ気味ではある一方,今後の展開という意味では幾つもの新しい研究seedsが見つかり,次年度への飛躍が期待される1年と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が最終年ということもあり,これまでの研究にある程度区切りをつけ,最終成果物として,国内外の学会で報告することにより注力することが求められる. 具体的には,ADPRL技術を使った実証分析を進めたい. 一方で,本研究により生まれてきた新しい課題についての可能性を見極めるために,より本質的な理論面も重視する姿勢を残したいと考える.そのため,国内外の新たな研究者との討論の場を積極的に求めることを推進する.
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Research Products
(4 results)