2016 Fiscal Year Annual Research Report
再生・移植医療用細胞・組織構築物の凍結保存・評価システムの開発
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15H03039
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
宮本 義孝 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, 研究員 (20425705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 真志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (90377820)
山下 紘正 日本大学, 総合科学研究所, 准教授 (00470005)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移植・再生医療 / 細胞・組織 / マイクロ・ナノデバイス / 組織構築物 / 凍結保存 / 凍結保護剤 / 機能評価 / システム |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】本研究では、再生・移植医療用細胞・組織構築物の凍結保存・評価システムを開発することを目的とし、細胞・組織構築物の創製から凍結手段と凍結保存液組成等について検討した。具体的な研究課題として、① DMSOフリー凍結保存液の開発、② 培養デバイスから細胞・組織構築物の創製および凍結保存、③ 凍結保存装置(改良)の作製・評価を行った。 【研究成果】2年目における各々の研究課題に対する主な成果をまとめた。① これまでに、凍結保存液の組成、カイコ繭由来タンパク質セリシン、マルトース、DMSO(+)がヒト由来細胞の凍結保存に有効であることを示してきた。しかしながら、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、細胞毒性が高く、細胞本来の機能低下からその影響が懸念されている。そこで、細胞内浸透性凍結保護剤としてDMSOに代わる保護剤を用いて、凍結融解が細胞に与える影響を評価した。結果、凍結融解後の細胞生存率に差は見られず、市販製と比べても、生存率、増殖能ともに差がないことから、有効なDMSOフリー細胞凍結保存液組成を見出すことに成功した。② 培養デバイスTASCLを用いて、ヒト脂肪由来幹細胞の組織構築物の創製に成功した(Miyamoto Y, Ikeuchi M et al. Cell Medicine, 2016)。凍結融解が細胞に与える影響を検証している。③ 基本となる凍結装置の作製は修了しており、その機能特性を評価しながら改良を続けている。 以上より、本研究では、①、②、③で得られた成果をもとに、有効な凍結保存方法(凍結手段と凍結保存液組成)について検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、再生・移植医療用細胞・組織構築物の凍結保存・評価システムを開発することを目的とする。2年目は、本課題に関わる研究者(研究代表者、研究分担者、連携研究者、研究協力者)とともに、① DMSOフリー凍結保存液の開発、② 培養デバイスから細胞・組織構築物の創製および凍結保存、③ 凍結保存装置(改良)の作製・評価、各々の工学的研究課題で得られた成果をもとに、生物学的・医学的評価を行っている。各研究者は、各々の課題について、連携して進めることができた。 ① これまでに、有効なDMSOフリー細胞凍結保存液組成を見出すことに成功している。 ② 細胞・組織構築物の創製に成功し、凍結融解が細胞に与える影響、得られた結果の再現性を検証している。 ③ 作製した凍結装置の改良および機能特性を評価している。 現在までに、各々の課題を明らかにしながら、研究に取り組んでいる。その中でも、本課題では、凍結保存方法(凍結手段と凍結保存液組成)の有効性を高めるように研究を推し進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目の研究の推進方策として、1-2年度で得られた成果をもとに、① DMSOフリー凍結保存液の開発(再現性の検証・評価)、② 培養デバイスで作製した細胞・組織構築物の凍結保存(諸条件および再現性の検証・評価)、③ 凍結保存装置(改良)の作製・評価、を基本方策として研究を推進する。各々の工学的・生物学的・医学的評価で得られた成果をもとに、本課題に関わる研究者で協力・連携しながら、再生・移植医療用細胞・組織構築物の凍結保存システムの構築を進める。 本研究では、ヒト由来細胞および実験動物を用いた研究が予定されている。機関の外部委員を含めた倫理審査委員会において生命倫理、安全管理を厳重に審査する。倫理委員会の承認かつ実施施設の長の許可を得て、全ての研究を遂行する。国立成育医療センター研究所においては、ヒト間葉系細胞の培養に関し、研究面において既に倫理審査を受け、承認を受けている。また、それぞれの組織については倫理的な手続きおよび考え方が年次毎に異なると予想され、「ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する指針」に従い、最新の社会的な影響を十分に考慮する。なお、研究協力者に倫理専門家を加え、本研究遂行にあたって新たな倫理的問題が生じないよう、常にモニタリングを行い、必要に応じて意見交換を行う予定である。実験動物を用いる研究については、国立成育医療研究センター動物実験指針に準拠して研究を実施する。特に、動物愛護と動物福祉の観点から実験動物使用は、目的に合致した最小限にとどめる。またその際、麻酔等手段により苦痛を与えない等の倫理的配慮をおこなう。実験者は、管理者と相互協力のもと適切な環境のもと飼育管理を行う。
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[Journal Article] Birth weights and Down syndrome in neonates delivered after frozen-thawed embryo transfer: Six-year study (2007-2012) on the national assisted reproduction registry data in Japan2017
Author(s)
Yamatoya K, Saito K, Saito T, Kang W, Nakamura A, Miyado M, Kawano N, Miyamoto Y, Umezawa A, Miyado K, Saito H
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Journal Title
Reproductive Medicine and Biology
Volume: 16
Pages: 228-234
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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