2015 Fiscal Year Annual Research Report
計算機シミュレーションを援用した義足の適合・設計技術確立のための基礎的研究
Project/Area Number |
15H03052
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
内藤 尚 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (40392203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 志信 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40242218)
中村 隆 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 義肢装具技術研究部, 義肢装具士 (40415360)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 義足 / 適合 / 評価 / 計算機シミュレーション / 福祉用具・支援機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,計算機シミュレーションを援用した義足の適合・設計技術の基盤を確立することである.本年度は,利用者と義足の各種特性を計測する手法の検討と断端およびソケットをインターフェースとした義足着用者モデルを用いた力学解析システムの構築を行った.具体的な研究実績は以下の通りである. ・利用者身体の主に断端部の表面および,骨格・筋・軟部組織の3次元立体形状をMRI装置および超音波エコー画像装置から得られた断層像を基に再構成できることを確認した.ただし,超音波エコー画像から再構成した立体形状では平均して3mm程度の誤差が残った. ・ソケットや身体表面の粘弾性特性分布を,荷重計を内蔵したプローブを持つ超音波エコー画像装置を用いた押し込み試験を行い,その結果を有限要素解析モデルで再現させることで同定する手法を開発した. ・義足の各節の慣性特性および関節の受動抵抗特性を,6軸力センサと運動計測装置を用いた実験に基づく力学的システム同定で求めるアルゴリズムを提案し,一剛体のモデルに任意の運動を与えたシミュレーションを行い,そのデータを基に同定精度の検討を行った.与える運動の種類によって同定精度が大きく変わることがわかった.今後,どのような運動が同定に適しているか検討すること必要である. ・骨格を剛体,筋・軟部組織・ソケット系の有限要素モデルとして,筋・軟部組織は超弾性体,ソケットは粘弾性体で,ソケット-皮膚間および関節面では接触摩擦が起こるものとして,モデルを作成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
力学的特性推定アルゴリズムの評価解析の結果、動作計測センサから得られる値の誤差によって推定値に予期しなかった大きな誤差が現れることがわかった.そのため予定になかった加速度センサを追加利用する方式を採用することとした.そこで加速度センサデータを追加した新たな力学的特性推定アルゴリズムを確立した上で、そのアルゴリズムに対応した計測システムを製作することが必要となった.
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Strategy for Future Research Activity |
構築した義足着用者の断端付近の計測系と運動時の状態データを取得する計測系を組み合わせ,良好な適合が得られていると言える複数の義足利用者を対象に計測を実施する.特に,断端部とソケット間の動的な相互作用の結果,運動時に断端部においていつ,どこで,どのように,体重に対応する荷重が支えられ,義足を懸垂して操作されているか,ということに着目する.データを標準的適合状態として取得し,それを基に良好な適合性に対する共通因子を抽出する.その上で抽出した共通因子を定量化し,計測データを用いて回帰分析を行い,因子の重みを求めることで,関数化した適合性の評価指標,すなわち適合評価関数を提案する.
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Research Products
(3 results)