2016 Fiscal Year Annual Research Report
計算機シミュレーションを援用した義足の適合・設計技術確立のための基礎的研究
Project/Area Number |
15H03052
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
内藤 尚 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (40392203)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 志信 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40242218)
中村 隆 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, 義肢装具士 (40415360)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 義足 / 適合 / 評価 / 計算機シミュレーション / 福祉用具・支援機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は,計算機シミュレーションを援用した義足の適合・設計技術の基盤を確立することである.身体運動シミュレーション技術を基に,義足着用者において直接計ることが難しい断端部の応力分布などの負荷を限られた計測情報から推定する技術と義足の特性や個人ごとの身体特性に依存する身体運動を定量的に予測する技術を開発し,それらを義足の適合性評価の支援ツールとして応用する. 本年度は義足着用者の計測と義足適合性を評価する計算機シミュレーションソフトウェア環境の整備を行った.具体的実績は以下の通りである. ・大腿義足着用者の立位状態における義足ソケットを着用時の断端および未着用時のMRI撮像を行い,形状データおよび立位荷重時における断端部の変形状態を取得した. ・股義足使用者の歩行シミュレーションを行い,身体負担について消費エネルギに着目して検討を行った.その結果,股関節で消費されているエネルギが健常歩行に比べて著しく大きいことが分かった.また,それは特に立脚期初期に顕著であり,その際にはハムストリングスと大腿直筋が同時収縮しており,比較的大きな筋であるハムストリングスで股関節伸展モーメントを発生しつつ,膝の屈曲を防ぐために大腿直筋が活動しているものと考えられた. ・義足の膝継手のシミュレーションを行うために閉リンク機構をもつ多リンク構造の運動解析を取り扱うことができるシミュレーションソフトウェアを作成した.それを用いて閉リンク構造をもつ膝継手の屈伸時の運動シミュレーションを行い,膝継手の受動抵抗特性を予測した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は来年度以降の被験者を利用した計測に向けて主に予備的な検討と計測結果を計算機シミュレーションを利用して解析するためのソフトウェア環境の製作・整備を行った.概ね順調に進展していると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,実際の義足利用者を被験者として複数の特性データを収集し,さらに,ソケット・断端系の計算モデルの開発し,計測で得られたデータを用いて計算モデルの妥当性の評価を行う.特に被験者個別のデータを用いることで義足利用者における適合状態の共通因子,個別因子を明確化を行う.また,これまで数値的に検討を行ってきた義足の慣性パラメータ同定システムを試作し,実験的に同定精度を検証する.
|
Research Products
(4 results)