2015 Fiscal Year Annual Research Report
近・現代東アジア武術の技法と思想の変容に関する国際比較:武術原理論の視点から
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15H03067
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
志々田 文明 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80196378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大保木 輝雄 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80114205)
池本 淳一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (90586778)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HMA国際会議 / 当身技 / 新陰流 / 松田隆智 / 中国武術 / 当身技 / 戦技化武道 / テコンドー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は以下である。研究代表者、共同研究者は研究協力者を伴いHMA国際学会大会に参加して研究発表し合計4本の論文を発表した。「Why can a little lady throw down a strong man using only a finger?」は柔術・柔道における武術性の原理と方法を考察するという本研究目的に鋭く切り込む論文であった。「Philosophy of kendo: killing sword and life living sword」は近世初期の流派剣術新陰流の思想転換の意味を論じて、近代剣道の担うべき価値を武術性に即して明確に示したものである。「Why Japanese budo enthusiast study foreign martial arts?」は中国武術の実践家・研究者として高名な松田隆智の研究が、伝統的な日本武道の思想に基づいて刀に代わる最高の当身を追求する性格をもつものであったことを解明した。「The conflict in modernization of wushu」は中国武術採点競技規定に反対した日本太極拳連盟の対応を通して競技性と武術性の対立び実態を解明した。また研究協力者Kは論文「植芝盛平の当身対抗技の技術史的研究」において嘉納治五郎が追求した武術としての柔道との関係を解明し、戦前の武道において武術性重視の実態を示唆した。Kはまた『近代武道・合気道の形成』を上梓して合気の概念を解明した。また研究協力者Jはテコンドーの起源と競技スポーツの形成過程を論じた博士論文で日本空手との関係を解明した。このほか、連携研究者Nは学会大会発表「戦時下における武道論の諸相」で武道の戦技化とスポーツ化批判、また両者の狭間の思想とそれらの相克を指摘した。以上、10項目の研究課題に関連して順調な成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要において既に示したように、本研究計画の10の研究課題に関連して、5つの研究論文、1つの著書、1つの博士論文を著すことができた。概ね順調に進展している理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まだ具体的な成果に至っていない分野、例えば、古流柔術における当身技の技法分析の研究、戦中武道における当身技の技法分析の研究、講道館護身術の研究、剣道における武術性と近代化研究、戦後中国武術の競技化問題、特に散打についての研究、日本統治下以前の朝鮮剣術・徒手格闘術の研究などがへの取り組みが必要である。研究チームで意見交換することにより、着実な成果を上げたいと思う。
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Research Products
(19 results)