2015 Fiscal Year Annual Research Report
簡易暑熱順化トレーニング法開発とその実用化にむけたコベネフィット評価
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15H03069
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本田 靖 筑波大学, 体育系, 教授 (20165616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西保 岳 筑波大学, 体育系, 教授 (90237751)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 温暖化 / 気候変動 / 暑熱耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
被験者は健康な男性9名で、室温38℃、湿度50%の暑熱環境下で、半仰臥位で行う自転車エルゴメーターを用いた50%VO2peakの一定負荷運動を①冷気 (10℃) 吸入 (Cold-air条件)、もしくは②室内空気 (38℃) 吸入 (Hot-air条件) の2条件下で行った。暑熱環境下の一定負荷運動時における冷気吸入は、深部体温上昇を抑制し、換気量の増加さらには脳血流反応の低下を抑制することが示唆された。このことから、暑熱下運動時に冷気吸入を行うことは、暑熱下での運動パフォーマンス低下を防ぐ有効な手段となることが考えられる。
世界気候研究計画(WCRP)の第5期結合モデル相互比較計画(CMIP5)に提出された予測シミュレーションの実験結果を精査して、高めの予測値を出すもの、低めの予測値を出すもの、中間的なものをそろえて、用いるべきモデルを決定した。また、コベネフィット効果による介入が可能になった場合に使用できるようなモデルの開発に関しては、既にある全球モデルについて、これまで評価できていなかった熱帯地域での適用可能性を評価し、ほぼ全球をカバーできる状況になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に計画していた以下の2つの研究をおおむね行うことができたため。
研究1では、暑熱環境下の持続的運動時において冷気吸入が体温および呼吸循環反応に及ぼす影響を明らかにすることを目的として実験を行い、暑熱環境下の一定負荷運動時における冷気吸入は、深部体温上昇を抑制し、換気量の増加さらには脳血流反応の低下を抑制することの結果が得られた。
研究2では、将来の温暖化に対する健康被害を低減させるために有効で実施可能な対策・施策を検討するにあたって複数の将来シナリオを精査し、用いるべきモデルを決定でき、また、既にある全球モデルについても、これまで評価できていなかった熱帯地域での適用可能性を評価し、ほぼ全球をカバーできる状況になった。
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Strategy for Future Research Activity |
暑熱環境下では常温環境下に比べ、運動パフォーマンスは低下する。暑熱環境下での体温上昇を抑えるために身体冷却が行われている。これには、浸水冷却などの外郭部を冷却する方法がある。しかし、運動中や短い休憩期間に全身を冷却することは困難であり、効果的な局所冷却方法の開発が必要である。そこで、頸部や腋下などの局所部位の冷却効果を検討する。被験者として健康な被験者10名に対して、室温38℃湿度50%の暑熱環境下で、一定負荷運動を行い、種々の部位の冷却効果を検討する。 さらに、平成27年度に検証したシミュレーションとともに、将来の影響を考える際に重要となる社会経済シナリオ、すなわち、どのように人口およびGDPが変化するかを、国際的に標準化が進みつつあるShared Social Pathways (SSPs)にそって予測し、熱関連超過死亡予測モデルに組み込むための死亡率予測データを入手し、適応策をとらない場合の熱関連超過死亡数を予測する。
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Research Products
(5 results)