2016 Fiscal Year Annual Research Report
長距離選手のパフォーマンスの向上に特化した次世代型トレーニングシステムの開発
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15H03077
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
伊坂 忠夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30247811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 俊之 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (10454076)
大塚 光雄 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20611312)
長野 明紀 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30392054)
塩澤 成弘 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (30411250)
菅 唯志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (30708673)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スポーツバイオメカニクス / スポーツ健康科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生理学からバイオメカニクスまでを網羅した多角的スポーツ科学解析からランニングパフォーマンスの決定因子を解明することである。さらに、その決定因子を高めるトレーニング法の開発やシミュレーション・フィードバックといった最先端の科学技術を駆使した次世代型のテーラメイド・トレーニングシステムの構築を行うことである。 昨年度、長距離選手において、腱組織の形態的特性(アキレス腱長)とランニングパフォーマンスの関連を明らかにしたが、今年度は、主に骨・関節の形態的特性に着目して、長距離選手の最適な身体形状のデータを得るべく研究を遂行した。骨形態の解析では、長距離選手における足趾骨が一般者よりも長く、さらに長い足趾骨が高いランニングパフォーマンスに関連することを明らかにした。また、短距離選手を対象とした研究からも同様の結果が得られたことから、長距離および短距離競技において、高いパフォーマンスを達成するために足趾骨の形態的特性が貢献する可能性を示唆した。 関節形態の解析では、長距離選手における長い足関節モーメントアームが高いランニングパフォーマンスに関連することを明らかにした。また、同様な結果は、短距離選手においても認められた。一方、これまでに短距離選手において長い膝関節モーメントアームが高いスプリントパフォーマンスに関連することを明らかにしたが、これに対して、長距離選手では短い膝関節モーメントアームが高いランニングパフォーマンスに関連した。したがって、長距離および短距離競技において、高いパフォーマンスを達成するために関節モーメントアームの大きさが貢献するが、その中でも膝関節の形態的特性に関しては、競技間で異なる貢献を示す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、長距離選手におけるランニングパフォーマンスと腱組織の形態特性の関連を明らかにした。さらに、今年度は、骨・関節の形態的特性がランニングパフォーマンスに関連することを明らかにし、高いランニングパフォーマンスを達成するために、これまで報告されているような筋線維組成やミトコンドリア機能などの生理学的因子のみならず形態学的因子が貢献することを強く示唆する結果を得ることができた。したがって、今年度の研究実績をふまえ、長距離選手におけるパフォーマンス向上に特化したトレーニング法や筋―骨格シミュレーションの開発において重要な知見を得られた点において、おおむね順調に進展していると評価することができる。しかしながら、選手個人の特性に適したランニング動作の支援システムとして構築するリアルタイムフィードバックシステムの開発がやや遅れており、今後、その開発を重要視した研究を遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度および今年度において、長距離選手におけるランニングパフォーマンスに関連する腱組織や骨・関節の形態的特性を明らかにしたが、筋形態とランニングパフォーマンスの関連ついては、現在、網羅的な解析を遂行中である。したがって、最終年度では、早急にランニングパフォーマンスに関連する特定の筋を明らかにし、長距離選手において最適な身体形状モデルを確立することで、より高度な筋―骨格シミュレーションを構築する必要がある。また、今後、長距離選手の最適な身体形状に再構築することを狙いとしたトレーニング法を用いた長期介入やリアルタイムフォードバックを用いたランニング動作の支援システムの一過性および長期介入効果を行い、それから得られたデータを包括した次世代型テーラメイド・トレーニングシステムを構築する。
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Research Products
(6 results)