2015 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・キャピタルからみた「学校力」と「地域力」が青少年の健康に及ぼす影響
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15H03087
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高倉 実 琉球大学, 医学部, 教授 (70163186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上地 勝 茨城大学, 教育学部, 准教授 (20312853)
栗原 淳 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (40215067)
小林 稔 琉球大学, 教育学研究科, 教授 (70336353)
宮城 政也 琉球大学, 教育学部, 准教授 (80316215)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学校保健 / 社会疫学 / ソーシャル・キャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はソーシャル・キャピタルの観点から,青少年における集団的な力を「学校力」および「地域力」として捉え,それらと健康指標の関連について実証するとともに,特徴的な地域のつながりを有する沖縄を包含しつつ地域比較を行うことを目的とする。 初年度である本年度は,これまでのソーシャル・キャピタル研究を踏まえて「学校力」および「地域力」に関する概念を整理すると同時に,「学校力」および「地域力」についての指標と考えられる集合的効力(CE)を測定する自己評定尺度を検討した。 Sampsonら(Science 1997)をはじめとする先行研究レビューから,青少年のCE概念を学校および近隣における社会的凝集性(SC)とインフォーマルな社会的統制(ISC)から構成した。SCはTakakuraら(School Health 2014)のソーシャル・キャピタル尺度を適用し,ISCは先行研究の質問項目を参考にして質問紙を作成した。そして沖縄の高校2校,茨城の高校2校,京都の高校2校を選出して計39学級に在籍する生徒1471名を便宜的標本として質問紙調査を行った。本研究計画は琉球大学疫学研究倫理審査委員会の承認を得ている。 項目分析を経たISC13項目について因子分析を行ったところ,学校におけるISC(7項目)と近隣におけるISC(6項目)と解釈できる2因子が抽出された。これらは学校や近隣において,公共の利益のために,または何らかの問題に対して人々が何らかの行動を起こすという共有された期待を表すことから,因子的妥当性が確認できた。尺度の内的整合性は十分高く,ISCとSCの間に正の相関がみられ併存的妥当性が確認できた。ISC,SC,これらを総合したCEの健康関連指標に対する予測的妥当性を検討したところ,概ね予期した方向の関連がみられた。本尺度は適当な妥当性と信頼性を有し,今後の健康関連研究への使用可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,青少年の集団的な力である「学校力」および「地域力」に関する概念を整理して,「学校力」と「地域力」についての集合的効力を学校および近隣における社会的凝集性とインフォーマルな社会的統制から構成することができた。そして,学校および近隣における集合的効力を測定する自己評定尺度を作成し,精神測定学的検討を行うという初年度の目的を達成したことから,順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は,交付申請書に記載した研究実施計画に沿って進める。 次年度は,当初の研究計画通り,研究代表者および分担者の研究フィールドの地域におけるサンプリング調査を実施して,青少年の「学校力」および「地域力」,すなわち,学校および近隣における集合的効力を測定し,それらと健康指標との関連性について,個人レベルと学校および近隣の2つの集団レベルの両方を考慮した分析を用いて明らかにする予定である。
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Research Products
(3 results)